8.3. Hansen SP & QSPRモデル¶
原子団寄与法によりハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を計算します。 また、原子団寄与法とQSPR(構造物性相関)モデルにより各種物性を計算します。
使用するためにはアドオンの購入が必要です。
コマンドラインよりバッチファイルを使用して複数の分子構造に対し自動で連続的に処理することも可能です。(後述)
- HSPや各種物性を求めたい分子をメインウィンドウで作成した後、本メニューをクリックします。ポリマーの場合はリピートユニット(例えばポリエチレンの場合はエタン分子)を作成し、隣のリポートユニットと結合する2か所を続けて左クリックしておきます。この挙動はポリマービルダ機能のモノマー登録と同じです。
- 分子の場合は Calc Hansen SP ボタン、ポリマーの場合は Calc Hansen SP for Polymer ボタンをクリックします。
- HSPや各種物性が記されたcsvファイルが作成されます。csvファイルの各項目の意味は以下の通りです。それぞれの物性の単位はcsvファイル内に書かれています。
表示名 意味 totHSP Sqrt((dD14)^2+(dP14)^2+(dH14)^2)(Hildebrandの溶解度パラメータに相当)dD14 HSP分散項 dP14 HSP分極項 dH14 HSP水素結合項 dHdo14 HSP水素結合項(ドナー) dHac14 HSP水素結合項(アクセプター) polym_totHSP Sqrt((polym_dD14)^2+(polym_dP14)^2+(polym_dH14)^2)(Hildebrandの溶解度パラメータに相当)polym_dD14 HSP分散項(ポリマー向け) polym_dP14 HSP分極項(ポリマー向け) polym_dH14 HSP水素結合項(ポリマー向け) polym_dHdo14 HSP水素結合項(ドナー)(ポリマー向け) polym_dHac14 HSP水素結合項(アクセプター)(ポリマー向け) Boiling Point 沸点 Melting point 融点 Log10(Viscosity) 対数粘度 Standard enthalpy of formation 標準生成エンタルピー Standard Gibbs free energy of formation 標準ギブスエネルギー Surface tension 表面張力 Thermal conductivity 熱伝導度 計算されるHSPや各種物性は原子団寄与法により算出されています。 算出に対応している原子団(官能基)は pirikaのページ に記されています。 総原子数は最大250、水素を除く原子数は120まで計算可能です。 モノマー用機能とポリマー用機能の違いは、例えばポリエチレンであれば、末端をCH3にするか、CH2にするか、だけの違いとなります。 また、モデリングされた分子の結合の種類(単結合、二重結合など)は計算結果に影響を与えます。
複数の分子構造に対し自動で連続的に処理したい場合は、コマンドラインよりバッチファイルを使用します。 コマンドラインの記法は コマンドプロンプトからの実行方法 を参照してください。 コマンドラインを使用すると、元ファイルのフォルダにcsvファイルと作業フォルダが作成されます。 コマンドラインからポリマー向けの値を算出したい場合は、元ファイルにおいて隣のリピートユニットと結合する2か所の原子種をAtに変更してください。
例えば以下のようなバッチファイルを作成し、バッチファイルと同じ階層にmol2ファイルを配置してから、バッチファイルをダブルクリックすると、mol2ファイルの分子について連続で計算が実行されます。
cd %~dp0 for %%F in (*.mol2) do ( C:\winmos10\winmostar.exe %%F -s -hsp ) pauseただし、バッチファイルを用いて長時間計算する場合に、「このスクリプトの実行を中止しますか?」、「このページのスクリプトが、Webブラウザーの実行速度を遅くしています。」、「スクリプトを実行し続けると、コンピューターが応答しなくなる可能性があります。」などの警告が都度表示される場合があります。その場合は、 こちらのMicrosoftのページ の「Let me fix it myself」の方法で警告の出現を回避することができます。