8.4. Hansen SP & QSPRモデル

原子団寄与法によりハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を計算します。 また、原子団寄与法とQSPR(構造物性相関)モデルにより各種物性を計算します。

使用するためにはアドオンの購入が必要です。

コマンドラインよりバッチファイルを使用して複数の分子構造に対し自動で連続的に処理することも可能です。(後述)

  1. HSPや各種物性を求めたい分子をメインウィンドウで作成した後、本メニューをクリックします。ポリマーの場合はリピートユニット(例えばポリエチレンの場合はエタン分子)を作成し、隣のリポートユニットと結合する2か所を続けて左クリックしておきます。この挙動はポリマービルダ機能のモノマー登録と同じです。
  2. 分子の場合は Calc Hansen SP ボタン、ポリマーの場合は Calc Hansen SP for Polymer ボタンをクリックします。
  3. HSPや各種物性が記されたcsvファイルが作成されます。csvファイルの各項目の意味は以下の通りです。それぞれの物性の単位はcsvファイル内に書かれています。
表示名 意味
totHSP
Sqrt((dD14)^2+(dP14)^2+(dH14)^2)
(Hildebrandの溶解度パラメータに相当)
dD14 HSP分散項
dP14 HSP分極項
dH14 HSP水素結合項
dHdo14 HSP水素結合項(ドナー)
dHac14 HSP水素結合項(アクセプター)
polym_totHSP
Sqrt((polym_dD14)^2+(polym_dP14)^2+(polym_dH14)^2)
(Hildebrandの溶解度パラメータに相当)
polym_dD14 HSP分散項(ポリマー向け)
polym_dP14 HSP分極項(ポリマー向け)
polym_dH14 HSP水素結合項(ポリマー向け)
polym_dHdo14 HSP水素結合項(ドナー)(ポリマー向け)
polym_dHac14 HSP水素結合項(アクセプター)(ポリマー向け)
Boiling Point 沸点
Melting point 融点
Log10(Viscosity) 対数粘度
Standard enthalpy of formation 標準生成エンタルピー
Standard Gibbs free energy of formation 標準ギブスエネルギー
Surface tension 表面張力
Thermal conductivity 熱伝導度

計算されるHSPや各種物性は原子団寄与法により算出されています。 算出に対応している原子団(官能基)は こちら に記されています。 総原子数は最大250、水素を除く原子数は120まで計算可能です。

複数の分子構造に対し自動で連続的に処理したい場合は、コマンドラインよりバッチファイルを使用します。 コマンドラインの記法は コマンドプロンプトからの実行方法 を参照してください。 コマンドラインを使用すると、元ファイルのフォルダにcsvファイルと作業フォルダが作成されます。 コマンドラインからポリマー向けの値を算出したい場合は、元ファイルにおいて隣のリピートユニットと結合する2か所の原子種をAtに変更してください。

例えば以下のようなバッチファイルを作成し、バッチファイルと同じ階層にmol2ファイルを配置してから、バッチファイルをダブルクリックすると、mol2ファイルの分子について連続で計算が実行されます。

cd %~dp0

for %%F in (*.mol2) do (
  C:\winmos9\winmostar.exe %%F -hsp
)

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