4. 基本的な操作の流れ

ここでは、Winmostarを用いて量子化学計算、分子動力学計算、あるいは第一原理計算を流す基本的な流れを紹介します。

Winmostarを起動し、プロジェクトモードの場合は ファイル ‣ 新規プロジェクト 、ファイルモードの場合は ファイル ‣ 新規ファイル をクリックします。

プロジェクトモード

個々のファイルを意識することなくジョブを管理することができます。無償版以外のユーザにはこのモードを使うことを推奨します。

ファイルモード

個々のファイルに対し明示的に操作を行います。V10以前と互換性のある手順で操作できます。無償版またはプロジェクトモードに非対応のソルバ・ジョブスケジューラを使う場合や、Winmostar以外で作成された各ソルバの入力ファイルを用いて計算を流す場合はこのモードを使います。

4.1. プロジェクトモードの場合

プロジェクトを構成するファイルの説明は 新規プロジェクト で確認できます。

  1. 初期構造を作成

ファイル ‣ 新規プロジェクト をクリックし、 初期構造の作成方法 の手順で、計算したい系を作成します。

既存の構造ファイルを開いている状態などファイルモードからプロジェクトモードに移行する場合は ファイル ‣ 現在の構造で新規プロジェクト をクリックします。

既存の構造ファイルに対し計算を流したい場合、 ファイル ‣ 新規プロジェクト をクリックした後 ファイル ‣ ファイルをインポート を使って構造を読み込む方法もあります。

  1. 計算条件(キーワード)の設定

上部のツールバーの ソルバ プルダウンメニュー solver で使用したいソルバを選び、 ワークフロー設定 ボタン toolbar_configure をクリックします。

# of Jobs で今回実行するジョブの数を指定します。 # of Jobs が2以上のときは、ジョブが逐次実行され、各ジョブの最終構造が次のジョブの初期構造として使われます。

ワークフロー設定 ウィンドウの中央部では、各ジョブの計算条件を指定します。 Details をクリックすると、 キーワード設定 ウィンドウが出現し、より詳細に計算条件を指定することができます。

最後に OK をクリックしてください。

  1. 計算の実行

  • WinmostarをインストールしたWindows PC上で計算を実行する場合( ローカルジョブ

    ジョブの設定 ウィンドウで、 このマシンでジョブを実行 にチェックを入れ、 実行 をクリックします。 並列数 に使用するプロセス数またはスレッド数を入力します。(パラメータ・構造スキャン機能では各計算の並列数を入力します。) Winmostar Job Manager が登録されたジョブを順番に処理します。

    実行後、 プロジェクト表示エリア で各作業フォルダの状態を確認します。正常に計算が進んだ場合、状態がNEW→PEND→RUN→ENDと変化します。異常があった場合、状態はABORTとなります。

    プロジェクト表示エリア で作業フォルダにカーソルを重ねるとエラーメッセージが表示されます。作業フォルダをクリックし アクションLog をクリックすると計算のログを確認できます。

    ジョブを中止したい時は プロジェクト表示エリア作業フォルダ で中止したいジョブを右クリックし、 Stop をクリックしてください。

  • WinmostarをインストールしたPCにネットワークで接続されたLinuxマシン上で実行する場合( リモートジョブ

    リモートジョブチュートリアル からも手順をご確認頂けます。

    ジョブの設定 ウィンドウで、 リモートマシンでジョブを実行 にチェックを入れます。 プロファイル で使用したいサーバ設定を選択します。

    適切なプロファイルがない場合は、 Config をクリックし、サーバの情報を入力します。詳細は ファイルモードにおけるリモートジョブの設定手順 を参照してください。

    リモートサーバ上でソルバを使用するために別途環境変数の指定が必要な場合は、 テンプレートスクリプトNew をクリックし、ジョブの投入時に使うシェルスクリプトを編集し テンプレートスクリプト で選択します。

    オプション にはリモートサーバ上でジョブをサブミットするコマンド(qsubなど)の引数を入力します。典型的には使用したいキューの種類やマシン構成に依存したオプションが入力されます。この欄には リモートジョブ機能で使用可能なエイリアス文字列 を使用し並列数などを抽象的に指定することができます。

    プロファイルオプション の内容は Test Connection でテストすることができます。また、空いているキューの確認などを Control で実行することができます。

    並列数 に使用するプロセス数またはスレッド数を入力します。(パラメータ・構造スキャン機能では各計算の並列数を入力します。)

    最後に 実行 をクリックします。リモートサーバ上では登録されたジョブが順番に実行されます。

    実行後、 プロジェクト表示エリア で各作業フォルダの状態を確認します。正常に計算が進んだ場合、状態がNEW→SEND→PEND→RUN→END(Rem)→RECV→END(-)と変化します。異常があった場合、状態はABORTとなります。

    プロジェクト表示エリア で作業フォルダにカーソルを重ねるとエラーメッセージが表示されます。作業フォルダを右クリックし Open Remote stdout または Open Remote stderr をクリックすると、リモート上で実行された際の標準出力と標準エラーを確認することができます。作業フォルダをクリックし アクションLog をクリックすると計算のログを確認できます。

    状態がEND(-)となりリモートサーバ上で正常終了した場合は、作業フォルダをクリックし アクションReceive All Remote Output Files をクリックし、すべての出力ファイルをローカルマシンに転送します。

    ジョブを中止したい時は プロジェクト表示エリア作業フォルダ で中止したいジョブを右クリックし、 Stop をクリックしてください。

    ジョブの実行中にログの末尾の確認や一部ファイルの取得・可視化を行いたい場合は、 プロジェクト表示エリア作業フォルダ で対象のジョブを右クリックし、 Control Remote Job/Server をクリックしてください。開いた Control Remote Job/Server ウィンドウの操作方法は Submit Remote Jobウィンドウの各機能 を参照してください。

  • Winmostarから直接計算を実行せず、ファイルだけを保存したい場合

    ジョブの設定 ウィンドウで、ローカルジョブやリモートジョブの時と同様に設定した上で、 ファイルの保存後自部を実行しない にチェックを入れ、右下の 保存 をクリックします。その後、 ファイル ‣ エクスプローラで表示 をクリックすると保存された入力ファイル、バッチファイル、シェルスクリプトの一式を確認することができます。

  1. 各種物理量の表示、解析

プロジェクト表示エリア で作業フォルダをクリックし アクション で表示または解析したい内容をクリックします。

  1. ジョブの延長、継続

ジョブの延長や継続が必要な場合は、再度ワークフロー設定ボタンをクリックします。「ジョブを実行しますか?」と聞かれたら はい をクリックし、継続元の作業フォルダを選択し、新規ジョブと同様に計算条件の設定を計算の開始を行います。

4.2. ファイルモードの場合

  1. 初期構造を作成

ファイル ‣ 新規ファイル をクリックし、 初期構造の作成方法 の手順で、計算したい系を作成します。

  1. 計算条件(キーワード)の設定

上部のツールバーの ソルバ プルダウンメニュー solver で使用したいソルバを選び、 キーワード設定 ボタン toolbar_configure をクリックします。

いくつかのソルバでは、キーワードの欄にポインタを重ねると、そのキーワードの意味が出現します。

  1. 計算の実行

  • WinmostarをインストールしたWindows PC上で計算を実行する場合( ローカルジョブ

    • キーワード設定ウィンドウが開いた状態で Run ボタンを押します。

    • キーワード設定ウィンドウを OK ボタンを押して閉じます。 メインウィンドウの キーワード表示エリア にキーワードが反映されるので、キーワードを直接編集したい場合は、この段階でキーワード表示エリアを編集するか、 テキストエディタで開く から任意のテキストエディタを用いて入力ファイルを編集します。 その後、ツールバーの 実行 ボタン toolbar_run をクリックします。

    Run または 実行 をクリックした後、入力ファイルが保存されていない場合は入力ファイルの名前を入力すると保存され、続けて Winmostar Job Manager にジョブが登録されます。

    Winmostar Job Manager は登録されたジョブを順番に処理します。

    ジョブを中止したい時は、該当するコンソールウィンドウを閉じるか、該当するコンソールウィンドウがアクティブな状態でCtrl-Cを実行します。

  • WinmostarをインストールしたPCにネットワークで接続されたLinuxマシン上で実行する場合( リモートジョブ

    キーワード設定ウィンドウを OK ボタンを押して閉じます。

    次に、ツールバーの リモートジョブ投入 ボタン toolbar_submit をクリックしサーバへの接続設定を行います。 設定方法は ファイルモードにおけるリモートジョブの設定手順 を参照してください。 その後、 Submit Remote Job ウィンドウ上の Send & Submit ボタンを押し、入力ファイルの保存、転送(Send)とリモートサーバでのジョブの登録(Submit)を一度に行います。

    リモートサーバ上では登録されたジョブが順番に実行されます。

    リモートサーバ上でジョブが終了したら Get All Files ボタンを押して、WinmostarをインストールしたWindows PC上に計算から出力されたファイルを転送します。

    その他の細かい操作については ファイルモードにおけるリモートジョブの操作手順 を参照してください。

    ジョブを中止したい時は、 Send & Submit を実行した直後に表示されたジョブIDを覚えておき、 Submit Remote Job ウィンドウの Queue ‣ Kill submitted job をクリックし、ジョブIDを入力します。

  • Winmostarから直接計算を実行せず、ファイルだけを保存したい場合

    LAMMPS, Gromacs, Quantum ESPRESSOの場合:

    キーワード設定ウィンドウで Options タブに移動し、 Dump all files for remote ボタンを押し、ファイル名を入力して保存します。

    それ以外のソルバの場合:

    キーワード設定ウィンドウを OK ボタンを押して閉じます。次に、 ファイル ‣ 名前を付けて保存 をクリックし、ファイルを保存します。入力ファイルだけでなくシェルスクリプト等の付随するファイルも保存したい場合はプロジェクトモードを利用してください。

  1. ログの確認

ツールバーの ログを表示 ボタン toolbar_openlog を選択します。

どのファイルを開くか聞かれるが、ログを確認したい計算の入力ファイルがメインウィンドウに表示されている場合は、デフォルトで選択されるファイルを開きます。

ログファイルがテキストエディタで表示されるので、ジョブが正常あるいは異常終了したか確認します。

  1. 各種物理量の表示、解析

ジョブが正常終了している場合は、ツールバーの 結果解析 ボタン toolbar_analysis を押して、表示したい物理量のメニューを選択します。

どのファイルを開くか聞かれるため、適宜選択します。 複数ファイル選択する場合もあります。 ログの確認時と同様に、メインウィンドウに表示されているファイルに紐づけられたものがデフォルトで選択されます。

ファイルを指定すると、結果表示用のウィンドウが表示されます。

  • 構造最適化の過程やトラジェクトリを可視化する場合はツールバーの アニメーション ボタン toolbar_animation を押します。

  • SCFやMD計算中のエネルギーや温度などの変化をグラフ化する場合は、ツールバーの エネルギー変化 ボタン toolbar_energyplot を押します。

  • 分子形状の解析については、別途 ツールメニュー 以下に機能が用意されています。

  1. ジョブの延長、継続

ジョブの延長や継続が必要な場合は、再度キーワード設定ウィンドウを開き、ジョブを開始します。

  • MDについては、キーワード設定ウィンドウで Continue Simulation にチェックを入れます。

  • Quantum ESPRESSOについては、キーワード設定ウィンドウで Output DirecotoryContinue を指定します。

  • その他、例えば半経験QM、QMの構造最適化計算の後に計算を流したい場合は、一旦 ツールバーの アニメーション ボタン toolbar_animation を押して、最終構造をメインウィンドウに表示したうえで、継続ジョブのキーワード設定を行います。