13. よくある質問・トラブルシューティング

13.1. 購入に関して

13.1.1. Q. 代金の支払方法を教えてください。

A.
【法人の場合】
以下の条件での後払いとなります。

支払方法: 当社指定銀行口座への現金振込
支払期日: 納品翌月末日

【個人の場合】
PayPalにてクレジットカードでお支払いください。

13.1.2. Q. 当社から発行される書類の種類を教えてください。

A.
請求書・納品書・見積書を発行いたします。
ただしPayPalの場合のみ、PayPalから領収書を取得してください。
その他の書類を発行希望の際はご相談ください。ただし、内容によりお断りする場合もありますのでご了承ください。

13.1.3. Q. 代理店などエンドユーザ以外が注文する方法を教えてください。

A.
指定代理店をご利用ください。詳細は 価格・購入 をご確認ください。指定代理店を介したくない場合は、弊社(株式会社クロスアビリティ)からの直販のみ可能です。指定代理店を設けている理由は、Winmostarの価格とサービスを、エンドユーザに適切な形で提供するためです。
その上でなおエンドユーザが指定代理店以外の代理店との取引を希望する場合は、当該代理店から指定代理店経由での販売は可能です。ただし、その際当該代理店と弊社の間でサービス内容の保証に関する取り決めがないため、サービス内容の保証は致しかねます。

13.1.4. Q. Winmostar本体と保守の価格を分割することは可能ですか?保守のみの販売はありますか?

A.
分割することはできません。ただしV11以降の教育機関向けラインナップに限り、V11本体購入後保守が切れた場合、保守のみ購入することができます。

13.1.5. Q. 製品の保証書はありますか?

A.
保証書という形での書類はありませんが、ご購入時にご同意いただく 使用規約サポートサービス規約 に保守等の保証書の内容に相当する文章が書かれておりますので、使用規約とサポートサービス規約を保証書の代用としてご利用ください。

13.1.6. Q. 個人利用での割引などありますか?個人向けライセンスはありますか?

A.
特にありません。無償版については、個人でもご利用頂けます。プロフェッショナル版については、教育機関に所属し教育機関での用務に使用する目的であれば教育機関向け、それ以外であれば民間企業・官公庁向けのライセンスのご購入ください。

13.1.7. Q. 教育機関と研究機関を兼任していますが、研究機関の予算で教育機関向けライセンスを購入できますか?

A.
できません。購入する組織が研究機関の場合は民間企業・官公庁向けライセンスの購入が必要です。

13.1.8. Q. 代理店からサイトライセンスを購入する際にサイトライセンス契約書はどのような流れで締結しますか?

A.
直販と同様に弊社とお客様(エンドユーザ)との間でサイトライセンス契約書を締結させていただきます。

13.1.9. Q. 日割りあるいは月割りでの購入は可能ですか?

A.
サイトライセンスの初年度のみ可能です。例えば、予算の都合などにより、特定ユーザライセンス、ノードロックライセンスで年度末までしか動作しないライセンスが必要な場合、値引きはありませんがライセンス開始日から1年以内で希望する日までのみ動作するライセンスを発行することは可能です。

13.1.10. Q. なぜWinmostarは他社の同等なGUIソフトウェアの製品よりコストパフォーマンスが良いのですか?

A.
いくつかの理由があります。
まずは、シミュレーションそのものを実行するプログラム(ソルバ)を自社開発せず、世界中で十分に利用実績のあるオープンソースソフトウェアを採用している点にあります。ただし、Winmostarサポートチームはそれぞれのソルバにソースコード・アルゴリズムレベルで精通しているので、サポートも十分に行うことが可能です。必要に応じてソルバの改良・修正も行うことができるのでソフトウェアのクオリティについて安心してお使いいただくことができます。
次に、ソフトウェアのライセンスとサポートに掛かる料金を分けて、ユーザが必要なサポートの量に応じて料金を節約できるようにしている点が挙げられます。多くの類似製品においては、サポート料金もライセンス料に含める一方で、サポートのクオリティについてはベストエフォートで提供される(つまり保証なし)ことが多いです。
また、Winmostarが純国産ソフトウェアである点も挙げられます。日本国内では為替の影響を受けることなくご利用いただけます。
コストパフォーマンスが良いとクオリティが心配になることがありますが、Winmostarは20年以上かけて開発・サポートされその経験を製品・サービスに逐次反映しているので、機能、ドキュメンテーション(マニュアル)の量とクオリティ、不具合対策・品質管理、初心者への対応についても高価格帯製品に引けを取っていません。

13.2. ライセンス・ライセンスコードに関して

13.2.1. Q. 特定ユーザライセンスの登録ユーザ変更は可能ですか?

  1. 民間企業・官公庁の場合は不可能です。教育機関の場合は、前回のユーザ変更(初回の変更の場合は購入)から1年以上経過していたら変更可能です。

13.2.2. Q. 教育機関向けライセンスを購入した時の所属機関から他の機関に移った場合、そのライセンスを使い続けることは可能ですか?

  1. 購入時の機関の所属から外れた場合、永久使用権であっても使用できません。教育機関向けライセンスは、教育機関に所属し教育機関の用務に限定して使用する学生・研究者・教員向けの特別価格として弊社が設定しているためです。

13.2.3. Q. 無償版、学生版、無料トライアルからプロフェッショナル版といった具合に、途中から製品を購入するなどしてエディションを変更する際に再インストールは必要ですか?

A. 不要です。これから使用したいライセンスコードを ツール ‣ 環境設定 メニューの ライセンスコード に入力してください。

13.2.4. Q. 無償版とプロフェッショナル版、といった具合に異なるエディションのWinmostarを複数インストールすることは可能ですか?

A. 可能です。その場合は、Winmostarのインストーラでエディションごとに別々のインストール先を指定してください。

13.2.5. Q. すでに入力したライセンスコードを変更する方法を教えてください。

A. これから使用したいライセンスコードを ツール ‣ 環境設定 メニューの ライセンスコード に入力してください。
学生の方で、無償版から学生版に切り替えたい場合は、ライセンス登録ページ で学生版にチェックを入れて再度ライセンス登録をしてください。

13.2.6. Q. MACアドレスを表示する方法を教えてください。

A. Winmostar V11の場合は、ライセンス未登録の状態で起動するとそのマシンのMACアドレスが表示されます。

Winmostar V10以下でWindows10の場合は、まず スタートメニュー ‣ Windowsシステムツール ‣ コマンドプロンプト をクリックしてコマンドプロンプトを起動します。次に、コマンドプロンプトのウィンドウで ipconfig /all と入力しEnterキーを押します。様々な情報が出力されるので、その中から「物理アドレス」の行を探してください。その内容がMACアドレスです。

「物理アドレス」行が複数ある場合、Winmostarのノードロックライセンス購入時に申請するMACアドレスは、基本的にどの「物理アドレス」でも大丈夫です。

13.2.7. Q. Winmostarのライセンス料に、Gaussianのライセンス料は含まれていますか?Gaussianのライセンスが付属したWinmostarのラインナップはありますか?

A. Winmostarのライセンス料に、Gaussianのライセンス料は含まれていません。Gaussianのライセンスが付属したWinmostarのラインナップはありません。Gaussianの代理店から別途ご購入ください。

13.2.8. Q. ライセンス期限が来るとそれまで使用していたWinmostarはどうなりますか?

A. ライセンス期限が来た後Winmostarを起動すると、ライセンスコードを入力するウィンドウが立ち上がり、それまで利用できていた各種機能は利用できなくなります。再びWinmostarのライセンスを更新し入力すると、ライセンス期限が来る前の状態を引き継いで使用することができます。

13.2.9. Q. 個人での学習目的に教育機関向けライセンスを購入できますか?

A.
現時点で教育機関に所属し、教育機関での用務に使用しない限り、教育機関向けライセンスをご購入頂けません。個人での利用については Q. 個人利用での割引などありますか?個人向けライセンスはありますか? をご確認ください。

13.2.10. Q. ライセンスの更新の手順を教えてください。

A.
プロフェッショナル版を購入された方は、納品時のメール送信元または 問い合わせフォーム から更新希望の旨をお伝えください。無償版、学生版の場合は、利用条件に該当するか確認した上で再度登録してください。

13.3. サポート・保守に関して

13.3.1. Q. 保守の内容は何ですか?

使用規約の内容に書かれています。こちら( Winmostar 使用規約 )です。

13.3.2. Q. 有償のメールサポート(メールでの操作方法サポート)と無償のお問い合わせフォームからの質問の違いを教えてください。

A. 有償のメールサポート(メールでの操作方法サポート)の明確な定義は サポートサービス規約 )に記載しております。それ以外は無償の お問い合わせフォーム <https://winmostar.com/jp/support_jp.php> からご質問いただくことになります。
実際には、回答の内容が研究課題の内容に強く依存する場合は有償となります。無償の場合はドキュメント(チュートリアル、ユーザマニュアル)のご案内が中心となります。計算化学・シミュレーション一般に関する事項ではなく、Winmostar固有の事項でドキュメントに書かれているべきものが書かれていない場合は、無償にて回答いたします。
ドキュメントに書かれてはいるが、より研究課題に合わせた回答が欲しい場合は有償でご質問いただくことも可能です。
迷った場合は、ひとまず無償の お問い合わせフォーム <https://winmostar.com/jp/support_jp.php> からご質問ください。有償での対応になる場合はその旨をお伝えします。

13.3.3. Q. 不具合サポートやパッチ提供は受けられますか?

使用規約の内容に基づき実施されます。最新の使用規約はこちら( Winmostar 使用規約 )です。

13.3.4. Q. 旧バージョンのサポート・保守はどこまで行われますか?

  1. ご使用中のバージョンのWinmostarに関する、有効な使用規約に記載の内容に基づきます。また、操作方法の簡単な案内は、可能な範囲で対応します。

13.3.5. Q. Winmostarの開発元(製造元)はどこですか?製造地はどこですか?

  1. 株式会社クロスアビリティ です。製造地は日本です。

13.3.6. Q. 開発元(製造元)と直接連絡取ることはできますか?

  1. 問い合わせフォーム から連絡を取ることができますが、対応の可否は利用規約に基づきます。最新の使用規約はこちら( Winmostar 使用規約 )です。 有償サポート を利用することで、より進んだメールでのサポートが可能となります。

13.3.7. Q. 使用しているWinmostarのアップデート・バージョンアップ・アップグレードは可能ですか?

A. マイナーバージョン(およびリビジョン)の更新については、利用可能期間内であれば何回でも実施可能です。メジャーバージョンの更新については、永久使用権の場合はライセンスの更新が必要で、年間使用権の場合は実施可能です。
例として、「V8.039」については、「8」がメジャーバージョン、「039」がマイナーバージョンを指します。「V9.1.0」については「9」がメジャーバージョン、「1」がマイナーバージョン、「0」がリビジョンを指します。
例えば、Winmostar V9の永久使用権のライセンス取得者は、V9.1.0からV9.1.5やV9.4.4に更新することは可能ですが、V10.0.0に更新することは不可能です。

13.3.8. Q. 質問するときの注意事項はありますか?

A. 計算が上手く流れない等の質問の場合、原則として状況を再現するインプットやアウトプットファイルをお送り下さい。

13.3.9. Q. 保守のみの販売はありますか?

13.3.10. Q. 教育機関向けに有償サポートの提供はありますか?

A.
残念ながら教育機関向けに有償サポートの提供は行っていません。ただし、Winmostarの利用方法の案内は保守範囲内で実施しておりますので、安心してWinmostarをお使いいただけます。

13.3.11. Q. 各種ソルバの技術サポートは提供していますか?各種ソルバの技術サポートを受けるにはどうしたらいいですか?

A.
各種ソルバの技術サポートは提供していますが、組織単位での提携・連携など特殊なケースを除き、各種ソルバの技術サポート単体での提供は行っておりません。
Winmostar付帯サポートの一環として各種ソルバの技術サポートを提供しています。
まずはWinmostarをご購入いただき、製品本体に付属するサポートの範囲でメール質問をしてください。
製品に付属するサポートを使い切った場合には必要な分だけ追加購入してください。
回答にサポートチームがある程度工数をかける必要がある質問内容につきましては、その際に個別に見積もりを作成します。

他社ベンダーのケースでは、オープンソースのソルバの技術サポートを内容にかかわらず定額に設定し、表面上は無制限にサポートするという形式も見受けられます。
しかし、実際にはその金額でどこまでサポートするかは無保証であることが多く、またそのような形式はサポート内容にも難易度のばらつきが多くベンダー・ユーザーそれぞれにとって公平ではないと弊社では考えており、弊社では上記のような形式でのサポートを提供しています。

13.3.12. Q. 電話でのサポートは行っていますか?

  1. 支払いに関するお問い合わせを除き、電話での対応は行っていません。購入前の製品内容に対する相談や、機能・サポートに関するご質問は、お問い合わせフォームやメールから承っています。これには2つの理由があります。まず1つは、Winmostarがカバーする手法が多岐に渡り、ご質問・サポート内容によっては複数人のサポートチームが対応する必要があり、電話では効率が悪いためです。2つめは、弊社の高品質な製品・サポートを今後も低価格で提供し続けることも目標に、効率の悪いサポートを極力減らすためです。

13.4. ソフトウェアの機能・利用について

13.4.1. Q. 「Winmostar」の呼び方は何ですか?

A. 「ウインモスター」です。Wikipedia等では誤情報が掲載されることがありますが、こちらが正式な呼び方です。

13.4.2. Q. Winmostarは社内外のサーバやクラウドに接続しますか?LAN接続していない状態でも利用可能ですか?

A. リモートジョブを使う場合のみ接続します。デフォルトの操作方法では、一切外部ネットワークに接続することはありません。Winmostarの動作に、ネットワーク接続は必須ではないため、オフライン環境でも使用することができます。ネットワークに接続していないPCにインストールする場合は、 インストール の手順で登場する各種ソフトウェアを予め他のPCでダウンロードし、ネットワーク接続していないPCにUSBメモリなどでコピーしたうえで、 インストール の手順に従いインストールを行ってください。

13.4.3. Q. Winmostarを動かすPCの最小・推奨スペックを教えてください。

A. Winmostar本体については 最小・推奨スペック をご確認下さい。
Winmostar本体ではなくソルバの実行も含めた推奨スペックが分からない場合は、次のようにしてください。
この質問をされる方は、計算の経験がそこまで多くなく具体的な計算条件と計算負荷のイメージがついていない場合が多いため、そのような方向けの回答となります。
基本的に原子スケールのシミュレーション業務を立ち上げ始めた時期にはCAE(構造計算、流体計算)のようにルーチンワークとして四六時中稼働し続けることが稀で、たいていの場合、特に習得し始める頃は研究ツールとしてスポット的に使われることが多いと思われます。
そのような場合、計算時間よりも計算のプランニングや考察に大半の時間が費やされるため、最初から計算機のスペックを気にしすぎるのは得策ではありません。
よって、まず計算内容に対する理解を深める方が計算機の能力よりも重要なので、 ブロンズサポート 以上のサポートの導入を推奨します。
計算のプランニングが不適切な場合、適切な場合と比べて何十倍も無駄な計算をしてしまう、ということも起こりえます。
次に、可能であれば50~100万円程度のコア数のできるだけ多いPC(ワークステーション)の利用を推奨しますが必須ではないため、予算的に難しければ現在ご利用中のPCだけでひとまずは問題ありません。
直近の研究課題に対し手元のPCの計算能力だけでは足りなくなった場合は、 FOCUSスパコンHPCシステムズサイエンスクラウド などのクラウドサービスを利用し大きな計算能力を一時的に確保することができます。
1-2年経つと業務に必要な計算量が分かりますので、その上で手元に置くPCを選定するとよいかと思われます。

13.4.4. Q. Winmostarで作成したデータを学会発表や論文に用いることは可能ですか?学会発表、論文投稿の際にどのように引用したらいいですか?

A. 使用いただいて問題ありません。発表される際には 引用について の通りに引用してください。

13.4.5. Q. Winmostarの画面を撮影した動画・画像をYouTube、SNSなどのウェブ媒体にアップロードすることは可能ですか?

A. 可能です。アップロードする際には、WinmostarのHPのURLを引用し、Winmostarを使用していること、使用したWinmostarのバージョンを明記してください。なお、ライセンスキーが表示される環境設定ウィンドウなどのアップロードは固く禁じます。

13.4.6. Q. Winmostarそのものに各種計算用ソフトがインストールされていますか?

A. MOPAC、CNDO/SのみWinmostarにインストールされています。それ以外のソフトは、ライセンスの関係上Winmostarには同梱されておらず、別途インストールする必要があります。多くのソフトは無料でインストール可能で、その手順は インストール で紹介されています。

13.4.7. Q. Winmostarはクラウド上で計算させていますか?

A. クラウド上で計算させることも可能ですが、させないことも可能です。デフォルトではクラウドを利用せず、WinmostarをインストールしたWindows PC上で計算をさせます。

13.4.8. Q. WinmostarはGPU計算に対応していますか?

A. GPU計算に対応していますが、デフォルトではGPUを使わない設定になっています。一部のソルバがGPUに対応していますが、動作確認、ビルド、設定作業は有償での対応となります。すでにGPUを使う設定でソルバをビルドし終わっていて、Winmostarを使わない状態での動作確認が済んでいる場合は、Winmostarの側の設定のみでWinmostarからGPU計算を利用することができます。Winmostar側の問題ではなく、ソルバ側の都合により、OS、マシン構成(GPU含む)、ソルバの種類・バージョンの組み合わせによってはGPUを使う設定でのビルドができない場合があるため(むしろほとんどの場合がそれに該当します)、GPUの導入前にシミュレーション用のハードウエアを提供するベンダーにご相談頂くことをお勧めいたします。

13.4.9. Q. IntelとAMDのどちらのCPUの方が動作に適していますか?どちらがお勧めですか?

A. 一般に、シミュレーションにおいてどちらが優れているということはありません。

13.4.10. Q. Winmostarを使って並列計算は可能ですか?

A. 可能です。詳細は、ファイルモードの場合は各ソルバのキーワード設定ウィンドウ、プロジェクトモードではジョブの設定ウィンドウで設定できます。

13.4.11. Q. Winmostarを使って並列計算する際、利用できるコア数の上限はありますか?利用できるコア数に応じて費用は変わりますか?

A. ユーザが用意したハードウエアの範囲内で、制限なく並列数を指定して頂けます。並列数に応じて、Winmostarのライセンス料は費用は変化しません。ローカルジョブの場合は、 Winmostar Job Manager で設定した最大コア数を上回るとジョブが流れないため、最大コア数の設定を変更してください。

13.4.12. Q. WinmostarはmacOS、Linuxで動作しますか?

A. Winmostarのアプリケーション本体はWindows OSのみサポートされています。サポートされているWindows OSの確認は 動作環境 で可能です。macOS、LinuxでWinmostarのアプリケーション本体を動かす場合は、VirtualBoxなどの仮想環境上にWindows OSをインストールした上でご使用ください。
リモートジョブを実行するコンピュータには、Linux・macOSを使用できます。

13.4.13. Q. Gaussianのインストール方法を教えてください。

  1. Gaussianのインストール方法は、Gaussianの販売代理店より入手してください。Gaussianをインストールした後は、 ツール ‣ 環境設定 ‣ プログラムパス において、Gaussianのプログラムパス(g03.exe, g09.exe, g16.exeなど)を選択してください。

13.4.14. Q. Winmostarで何原子あるいは何分子まで計算できますか?扱える原子数、分子数の上限はありますか?

  1. 動作速度は考えないとすると、100万原子程度までの動作確認はしています。動作速度は実行環境に強く依存するため、ご購入前に無料トライアルでご確認ください。なお、将来のバージョンではWinmostarの高速化を計画しております。

13.4.15. Q. Winmostarで粗視化モデルの計算はできますか?

  1. 純粋な量子化学計算、第一原理計算、古典分子動力学計算ではないという意味での粗視化モデルとしては、LAMMPSを用いた散逸粒子動力学(DPD)計算とKremer-Gresetモデルに対応しています(Kremer-Grestについては別途お問い合わせください)。United atomモデルやその派生の粗視化モデルは今後対応予定です。それ以外のモデルについては、個別にお問い合わせください。個別対応としている理由は、粗視化モデルを用いたほとんどの研究が、ソフトを使うだけでは有意義な結果が得られず、入念かつ慎重なコンサルティングが必要であるという認識を我々が持っているためです。Winmostarのサポート事例では、十分に検証を行った粗視化モデルのシミュレーション結果を紹介しています。

13.5. ソフトウェア動作全般に関して

13.5.1. Q. 思ったようにモデルを作成できません。計算できません。動作しません。

  1. まず、以下の基礎的なチェックを行ってください。

  • インストール時の注意事項 を確認する。

  • 使用中のWinmostarが無償版、学生版、プロフェッショナル版、プロフェッショナル版(トライアル)のいずれに該当するか確認し、問題を起こしている機能がその版で使用可能か 機能表 を見て確認する。

  • 使用中のセキュリティ対策ソフトの活動記録を確認し、Winmostar、CygwinWM、および各ソルバのインストールフォルダの下のアプリケーションの活動が妨害された記録がないか確認する。

  • Winmostarを最新版にアップデートし(使用中のバージョンと共存させることが可能)、 既知の不具合よくある質問・トラブルシューティング に類似する状況がないか確認する。

  • 保存するファイルやそれを含むディレクトリ(上位階層全てを含む)の名前に、日本語、全角文字などのマルチバイト文字や特殊記号(スペースも不具合の原因となります)が含まれている場合は、一部ソルバで不具合が出ることがあるため半角英数のみとなるようにする。

  • 実行した処理で何かしらログが出力されているか作業フォルダを確認し、ログの内容を確認する。

  • 計算が開始されたが計算結果がおかしいと感じた場合は、メインメニューで使用したソルバのメニューから「ログを表示」などをクリックし、ログの内容を確認する。

  • 計算の不具合については、各種ソルバのバージョンが、Winmostarのインストールガイドで推奨しているバージョンと同じであるか確認する。(特にGromacs, LAMMPS, Quantum ESPRESSO)

  • Windowsの"ワールドワイド言語サポートでUnicode UTF-8を使用"オプションが有効な場合は無効にする。(詳細は Windowsの"ワールドワイド言語サポートでUnicode UTF-8を使用"オプションを有効にすると一部のソフトが動作しなくなる。

次に、メモ帳などで以降の作業の記録を取れるようにしてください。不具合の再現方法が判明した場合、作業の記録と一緒にご報告頂くと比較的短時間で修正できることがあります。
そして、Winmostarの チュートリアル のうち、これから使いたいソルバの基礎編チュートリアルをトレースしてください。
基礎編チュートリアルのトレースに失敗する場合は、以下を試してください。
  • 誤操作でないことを確認するため再度トレースする。

  • 並列実行している場合は、シリアル実行(並列数1)に切り替える。

  • Winmostarを再起動する。

  • OSを再起動する。

  • セキュリティ対策ソフトで、Winmostar、CygwinWMのインストールフォルダ、およびソルバ(MPIを含む)が監視対象外に設定する。

  • CygwinWMを使用している場合は、 ヘルプ ‣ CygwinWMを診断 でCygwinWMの簡易的な診断を実行する。

  • Winmostar, CygwinWMおよび使用したソルバを再インストールする。

  • 他のPCで試す。

次に、最終的に計算したいものに極力近いと思われるチュートリアルをトレースしてください。 それに成功したら、最終的に計算したいものに少しずつ寄せるように計算条件を変更し(原子数、スーパーセルのサイズ、重合度、元素の種類、相の数など)、問題発生箇所を特定したら以下を試してください。

13.5.2. Q. 「ERROR: I/O error 32」と表示され処理に失敗します。

A. 処理に関わるファイルがWinmostar以外のアプリケーションまたはプロセスで開かれていてロックされている場合や、削除されている可能性があります。
OSを再起動し他のアプリケーションが開いていない状況でお試しください。

13.5.3. Q. Cygwinを使う処理が異常終了します。/ ツール ‣ CygwinWMを診断 機能で ... ERROR ... と表示されます。/Cygwinの黒いウィンドウに child_info_fork::abort: ... Loaded to different address: parent ... != child ... などと表示されます。

A. 以下の手順を上から順に一つずつ実行し、その都度、エラーが起きた処理を再実施してください。

  1. 一般的な 一般的な不具合の対処 を実施する

  2. マシンを再起動する

  3. Windowsセキュリティ開き アプリとブラウザーコントロール から Exploit Protectionの設定 クリックする。そして、 イメージのランダム化を強制する の値を 既定でオフにする既定値を使用する(オフ) に変更する。

  4. イメージのランダム化を強制する の値がWindowsを再起動するとリセットされてしまう場合は、PowerShellを管理者権限で起動し、以下のコマンドを実行する。(CygwinWMを C:\cygwin_wm にインストールした場合を想定。バックスラッシュ「\」は半角円マーク「¥」で入力。)

    cd C:\cygwin_wm
    Get-ChildItem -Recurse -File -Include *.exe | %{ Set-ProcessMitigation -Name $_.Name -Disable ForceRelocateImages }
    

そして、 C:\cygwin_wm の下の make_symlink.cmd をダブルクリックする。

  1. ほかのアプリケーションが終了した状態で動作確認を行う。(稀に他のアプリケーションと競合することがあります。)

  2. 使用しているCygwinWMの cygwin1.dll 以外を検索して削除し、マシンを再起動する

警告

  • 同一マシン上にCygwinWM以外に cygwin1.dll が存在して場合の一部のケースでこの操作が必要です。

  • cygwin1.dll は他にCygwinをインストールしていなくても、各種フリーウエアなどに同梱されていることがあります。

  1. 使用しているマシン上の全てのCygwinが終了している状態で、Windowsの[ファイル名を指定して実行]にて C:\cygwin_wm\bin\ash.exe (CygwinWMを C:\cygwin_wm にインストールした場合)を実行し、 /bin/rebaseall -v というコマンドを実行しマシンを再起動する。

  2. セキュリティ対策ソフトを一時的に無効する。

  3. CygwinのFAQ に記載されている不具合を起こしがちなソフトを無効にする。

  4. その他、 Cygwinのfork()関連の失敗に関するFAQ に記載された方法を試す。

  5. Cygwin公式サイト のCygwinを新規にインストールし、そこからターミナル(端末)を起動できるか確認する。

13.5.4. Q. ツール ‣ CygwinWMを診断 機能で No reference file (... filelist_cygwinwm.txt) was found... と表示されます。

A. CygwinWM診断機能ではまず最初に、CygwinWMをインストールしたフォルダの直下のfilelist_cygwinwm.txtというファイルを探しに行っており、このファイルがないというエラーが出ています。CygwinWMをインストールされた場所(デフォルトでは C:\cygwin_wm )でfilelist_cygwinwm.txtを探し、その直上のフォルダを[ツール]-[環境設定]-[プログラムパス]で指定してください。filelist_cygwinwm.txtが見つからない場合はCygwinWMのインストールに失敗した可能性があるので、セキュリティソフトの設定などを見直したうえでCygwinWMを再インストールしてください。

13.5.5. Q. ツール ‣ CygwinWMを診断 機能で WARNING ... some files are missing と表示されます。

A. CygwinWMを再インストールしてください。
再インストールしても表示される場合は、セキュリティ対策ソフトを一時的に無効にするか、インストール先・インストーラを監視対象外に指定してください。

13.5.6. Q. ツール ‣ CygwinWMを診断 機能で ERROR: Getting SMILES ... と表示されます。OpenBabelの処理が異常終了します。

A. Windows版のOpenBabelをCygwinWMとは別にインストールしている場合、Winmostarの内部処理でCygwinWMのOpanBabelを使うべきところをWindows版のOpenBabelを使って不具合を起こすことがあります。Windows版のOpenBabelをアンインストールするか、環境変数のPATHからWindows版のOpenBabelのインストールフォルダを削除してください。

13.5.7. Q. ジョブマネージャに登録されたジョブが実行されません。

A. 指定したMPIの並列数がジョブマネージャのMaxCoreの設定より大きいとジョブは実行されません。
MaxCoreの初期値値は実行しているPCのコア数に設定されているはずですが、それが変更されていないか、またはMPIの並列数をそれより多く設定していないか確認してください。
ジョブマネージャを使用しないで実行したい場合は、 ツール ‣ 環境設定 画面の 計算 タブの「MOPACをジョブマネージャで実行」や「その他のソルバをジョブマネージャで実行」のチェックを外します。

13.5.8. Q. ジョブの実行時に「実行できません(アクセスが拒否されました。)」と表示アラートが出現しジョブが開始されません。

A. 一般的な不具合の対処 を試してください。特に、インストールしたWinmostarおよびソルバのフォルダをセキュリティ対策ソフトの監視対象から外してください。

13.5.9. Q. Winmostarの各種機能やソルバーの実行など、黒いコンソール画面が出現する機能において、黒いコンソール画面の処理が終わらず先に進みません。

A. 黒いコンソール画面の中をたまたまクリックしてしまうと、Windowsの仕様上そこから処理がペンディングしてしまいます。
コンソール画面のウィンドウがアクティブの状態でESCキーを押すと、処理が再開されます。

13.5.10. Q. ファイルを開いたり、分子をモデリングした際に、結合が出現しなくなってしまった。または、無駄に結合が多く出現するようになってしまった。

A. まず、量子化学計算と第一原理計算(固体物理計算)では、結合の情報は計算結果に一切影響を与えないため、結合の有無はあくまで表示上の問題であることを前提にお考え下さい。Winmostarをインストールした直後の状態から結合の生成挙動が変わってしまった場合は、 ツール ‣ 環境設定 ‣ 編集結合判定係数 の値が適切でない可能性があります。デフォルト値に戻すか、1.15程度の値に設定してください。デフォルトの状態でも望みの状態にならない場合は、 編集 ‣ 結合を付加/変更 または 編集 ‣ 結合を削除 を使い、結合の作成または削除してください。

13.5.11. Q. Windowsのエクスプローラ上で拡張子を表示するにはどうしたらいいですか?

Windows 7の場合:
  • エクスプローラを開く

  • Alt キーを押す

  • ツール ‣ フォルダーオプション メニューの 表示 タブを開く

  • 登録されている拡張子は表示しない のチェックが外れた状態にする

Windows 8, 10の場合
  • エクスプローラを開く

  • 表示 タブを開く

  • ファイル名拡張子 のチェックが付いた状態にする

13.5.12. Q. マーカー(赤丸)やグループ選択(青丸)が表示されなくなりました。原子を選択できなくなりました。

  1. 表示 ‣ 表示項目 ‣ 選択原子マーカー にチェックを入れてください。

13.5.13. Q. ツールバー、ツールボタンの表示が崩れました。直すことはできますか?

  1. まずはWinmostarを終了し、UserPrefフォルダのバックアップを作成したうえでUserPrefフォルダの中身を削除しWinmostarを再起動してください。それでも変わらない場合は Windowsのディスプレイ拡大率が100%以外の時にWinmostarのツールバー、ツールボタンの表示が崩れる。 の対処法を試してください。

13.5.14. Q. 最適化フラグとは何ですか?

  1. 最適化フラグを変更 を参照してください。

13.5.15. Q. Winmostarから直接計算を実行せず、ファイルだけを保存させることはできますか?Winmostarが生成するファイルを編集してからジョブを流すことはできますか?

  1. はい。 基本的な操作の流れ で「Winmostarから直接計算を実行せず、ファイルだけを保存したい場合」の手順を実行してください。

13.5.16. Q. 各ソルバの最新バージョンあるいはWinmostarの動作環境に記載のないバージョンを、Winmostarから利用することは可能ですか?

A. そのソルバで利用したい機能の種類によります。概ね基礎的な機能は動作することが期待されますが、それを保証しているわけではありませんので、Winmostarの 動作確認 に記載のないバージョンを利用したい場合は、ご購入前にトライアルで動作確認頂くことを推奨します。動作確認に記載しているバージョンは、Winmostarの出荷前テストで使用しているバージョンとなります。一部のソルバ(LAMMPS, Quantum ESPRESSOなど)については、 ツール ‣ 環境設定 メニュー において、Winmostarが出力するファイルが対応するソルバのバージョンを切り替えることができます。
順次Winmostarが対応するソルバのバージョンについては更新していく予定となっています。対応バージョンの更新について予定時期が特に明示されておらず、すぐに対応が必要な場合は、有償カスタマイズの利用をご検討ください。

13.6. ファイル入出力に関して

13.6.1. Q. Winmostar以外で生成されたファイルをWinmostarで開けません。また、Winmostarで生成したファイルを編集してからWinmostarで開こうとしても開けません。

A. 改行コードやエンコーディングが変化していないか確認してください。それでも開けない場合はファイルを添付の上 問い合わせフォーム からお問い合わせください。

13.6.2. Q. MOL形式またはSDF形式のファイルを開くと、結合長が不自然になります。水素が出現しません。

A. 次の手順で分子構造を修正してください。(1) 結合長を自動調整 (2) Z-Matrixを再生成 (3) 選択原子に付加(自動) SDFファイルの場合は SDFファイルの編集 の手順を参考に操作してください。

13.6.3. Q. SMILESを読み込んでも意図通りの構造が生成されません。なぜですか?どうしたらいいですか?

A. SMILESを読み込む外部プログラムの特性により意図通りの構造が生成されないことがあります。SMILESを読み込む外部プログラムを切り替えることで解決することがあります。ファイル→インポート→SMILESで、 Use OpenBabelUse Balloon のどちらかを選択してください。

13.7. 分子のモデリング・系の作成に関して

13.7.1. Q. 化学結合の種類(一重、二重など)を変更する方法を教えてください。

A. 例えば以下に示す方法で変更できます。
1) 編集 ‣ 結合を付加/変更 またはメインウィンドウ上部の 結合を付加/変更 ボタンを複数回押すことで、結合の種類を変更できます。
2) 編集 ‣ 原子/結合の自動調整 ‣ 結合を再生成 を選択すると原子間距離から判定された結合次数で自動的に化学結合の種類が変更されます。予め 編集 ‣ 原子/結合の自動調整 ‣ 簡易構造最適化 により構造最適化しておくと、より妥当に自動変更されることがあります。
3) 小さい分子が一つだけしか表示されていない場合は、MOPAC計算を実行することで、Population解析結果を用いて自動的に結合次数が変更されます。

13.7.2. Q. MD ‣ 溶媒を配置/系を構築 機能を実行すると Error : Failed to solvate. などと表示され処理に失敗します。

---------質問詳細---------

MD ‣ 溶媒を配置/系を構築 を実行した際に generate.log に下記のように出力され処理が正常終了しません。

gmx insert-molecules -try 100 -f gmx_tmp_water.gro -o gmx_tmp_water_tmp.gro -ci mol0.gro -nmol 64
...
set +v
Error : Failed to solvate.
  1. 一般的な不具合 の対処と、Cygwinの一般的な不具合 の対処に加え、分子数を減らすか、密度を減らして実行してください。

13.7.3. Q. 一部の機能を実行したときに \357\273\277 などと表示され処理に失敗します。

---------質問詳細---------

MD ‣ 溶媒を配置/系を構築 を実行した際に packmol.log に下記のように出力され処理が正常終了しません。

/cygdrive/C/winmos11/UserData/builder_tmp/packmol.sh: line 1: $'\357\273\277packmol': command not found

A. \357\273\277 はBOMというUTF形式のテキストファイルに含まれるコードでCygwinやLinux環境のプログラムでは対応しておりません。 コントロールパネルの[時計と地域]-[日付、時刻、数値形式の変更]-[管理]タブ-[システムロケールの変更]で[ベータ:ワールドワイド言語サポートでUnicode UTF-8を使用]にチェックが入っている場合は、差し支えなければチェックを外してください。

13.8. ローカルマシンでのMPI・並列実行に関して

13.8.1. Q. 自分で流す並列計算が異常終了するのはなぜですか?インストールテストの並列テストには成功します。並列なしの計算も正常終了します。

A. 並列数を2, 4, 6...と徐々に上げて挙動を観察してください。問題サイズに対し並列数が大きすぎると異常終了することがあります。また、高性能コア(Pコア)と高効率コア(Eコア)を持つ世代のIntel CoreシリーズのCPUを利用している場合は、並列数がPコアのコア数を超えないようにしてください。

13.8.2. Q. MPICHが計算途中で終了します。

---------質問詳細---------
MPICH実行中に、次のようなエラーを表示して計算が途中終了となることがあります。
op_read error on left context: Error = -1
op_read error on parent context: Error = -1
unable to read the cmd header on the left context, Error = -1
unable to read the cmd header on the parent context, Error = -1
Error posting readv, An existing connection was forcibly closed by the remote host.(10054)
connection to my parent broken, aborting.
state machine failed.

A.
このエラーはMPICHがlocalonlyでもネットワークアダプタを使うため、ネットワークアダプタが途中で切れてしまうため発生するエラーです。
しかし初めからネットワークアダプタが切れている場合、MPICHはネットワークアダプタを使用しないため、このエラーは発生しません。
MPICHを用いて長時間の計算を行う場合、ネットワークアダプタを無効にしてから計算を実行して下さい。

13.8.3. Q. LAMMPS, Quantum ESPRESSOのMPI並列実行時に Unable to open the HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\MPICH\SMPD\process\???? registry key, error 5, アクセスが拒否されました。 という警告が表示されます。

A. MPICHがレジストリを書き換えようとするのですが、管理者権限がないので失敗したというメッセージです。
管理者権限でWinmostarを起動すればメッセージは出なくなりますが、メッセージが出ている状態でも計算自体は正常に実行されているので、無視しても問題ありません。

13.8.4. Q. dotNetFx35setup.exeを用いた.NET Framework 3.5のインストールに失敗します。どのようにしたらいいですか?

A. Windows PowerShellからインストールすることで回避できることがあります。 Windows PowerShellを管理者権限で起動し以下のコマンドを入力してください。

Set-ItemProperty -Path 'HKLM:\Software\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate\AU' -Name 'UseWUServer' -Value 0;
restart-service wuauserv;
dism /online /Enable-Feature /FeatureName:NetFx3;
Set-ItemProperty -Path 'HKLM:\Software\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate\AU' -Name 'UseWUServer' -Value 1;

13.9. リモートジョブに関して

13.9.1. Q. 社内や学内のスパコンまたはLinuxサーバにジョブを投げる方法を教えてください。

A. 接続先のコンピュータ固有の環境設定などが必要な場合も、リモートジョブ用のひな形スクリプトを作成することで可能になります。
詳しくは リモートジョブ をご確認ください。

13.9.2. Q. 公開鍵方式のSSH接続に失敗します。TeraTermやCygwinなど他のソフトで同じ秘密鍵ファイルを指定すると接続に成功します。解決法はありますか?

A. 鍵の形式がWinmostarでサポートされていない可能性があります。 SSH公開鍵・秘密鍵認証での接続方法 を参照してください。

13.9.3. Q. Test Connection での接続テストは成功するが、ジョブの投入(サブミット)に失敗します。

A. 様々な理由が考えられます。以下にいくつかの例を示します。

1. TSUBAME3.0など、SSH接続の回数制限がある場合は、 TSUBAME3.0でのSSHアクセス数制限について に記載の方法で、SSH接続を都度実行せずにつなぐ方法で回避することができます。
2. サーバ側で、秘密鍵認証だけでなく、パスワード認証もアクティブにすることで回避できる場合もあります。
3. ログインサーバの実体が複数あり、バックグラウンドで自動選択される場合は、特定のログインサーバのみを利用するか、全てのサーバがcache登録されるまで接続しておくことで回避できる場合もあります。
4. ローカルマシンからWinmostarがジョブ投入コマンド( qsub など)を投げても、リモートサーバ上でコマンドが見つからない場合があります。 Submit Remote Job ウィンドウの Profile --> Edit Profile...Prefix for queueing commands に、 qsub 等の実行ファイルのパスを記入することで回避できます。例えば、 qsub のフルパスが /usr/local/bin/qsub の場合は、 Prefix for queueing commands に「/usr/local/bin/」と入力してください。

13.9.4. Q. Test Connection での接続テストは成功するが、PuttyのWARNINGが表示され各種の操作に失敗します。

---------質問詳細---------
TestConnectionの結果はOKにもかかわらず、各種コマンドが実行できない。
また、リモートジョブ投入画面起動時やTestConnection実施時などで以下のダイアログが表示される。
WARNING: Putty default host name was found in registry.
(\SOFTWARE\SimonTatham\PuTTY\Sessions\Default%20Settings\HostName)
This may cause errors while job submission.
Clear this setting.

A.
原因:
このWARNINGはPuttyのHostNameが設定されているときにおこります。
Puttyの設定はWindowsのレジストリに保存されるため、Winmostar同梱版以外のPuttyであってもHostNameに何らか文字列が保存されていても、この問題がおこります。
対応:
リモートジョブ投入画面の Connection ‣ Open Putty からPuttyを起動します。Default SettingsのHostName欄に文字列が設定されているか確認します。
この文字列を削除してDefault Settingsを選択した状態でSaveすると、この問題を解消できます。
(なお、Port欄の入力内容は特に影響しません。)

13.9.5. Q. リモートサーバではどの種類のMPI(MPICH、OpenMPIなど)を使用できますか?

A. 基本的にどの種類のMPIも利用可能です。MPICH、OpenMPI、MVAPICHなどで動作実績があります。
テンプレートスクリプトを編集することで、source、module、exportといったコマンドを自由に実行し、任意のMPIを実行する環境を設定できます。
使用するソルバは、使用するMPI(mpicc, mpif90)でコンパイルされている必要があります。

13.9.6. Q. リモートサーバでbashrcなどに記入して設定しているはずの環境変数(PATHなど)が、Winmostarから実行した時に設定されないことがあるのはなぜですか?そのような場合はどうしたらいいですか?

A. インタラクティブにターミナルでシェルの操作をする場合とsshコマンドの引数で直接コマンドを実行する場合とでリモートサーバ上で処理フローが異なることがあるためです。bashコマンドの引数で実行する場合も同様のことがあります。対処方法としては、テンプレートスクリプトを作成し、その中で別途環境変数の設定等を明示的に記入してください。

13.9.7. Q. Windows版のソルバとLinux版のソルバの間で動作に違いはありますか?

A. 計算速度を除く機能面での違いは基本的にありません。コンパイラ・MPI・コンパイル設定の違いにより性能は変化します。

13.9.8. Q. 異なるサーバ上で流すリモートジョブを計算を同時に実行することはできますか?

A. はい。ただし、プロジェクトモードでは各ジョブが実行時のプロファイル情報に紐づけられるため、それぞれのサーバごとに異なるプロファイルを作成してください。

13.10. シミュレーション全般に関して

13.10.1. Q. ある物質とある物質の間の相互作用を計算することはWinmostarで可能ですか?

A. 「相互作用」という言葉の定義は広いため、定義によります。
まずは、着目している物質の量子化学、分子動力学、第一原理計算自体を実行できるか、という意味では、各ソルバ(GAMESS, Gaussian, LAMMPS, Gromacs, Quantum ESPRESSO)で実行可能な内容にWinmostarは依存しているので、各ソルバのマニュアルを予め調べてください。
次に、何か着目している物性や現象のメカニズムを知りたいという意味での相互作用については、その物質系固有の知識が必要となるため、計算可能かどうかの調査自体に十分な調査が必要となるため、すぐには回答できません。民間企業向けに有償で調査を行うサービスも用意しています。
相互作用により生じた結合、会合を定量的に評価したい場合は、絶対零度であれば結合距離に対するエネルギーの変化、運動状態であれば結合する物質間の動径分布関数や結合の時系列データの自己相関関数から議論できます。
最後に、Kitaura-Morokuma解析やMDにおけるCoulomb・vdW相互作用などの相互作用エネルギー解析のように、具体的な解析内容が分かっている場合は、その旨をご質問ください。

13.10.2. Q. 分子内のある結合に関する結合エネルギーや結合解離エネルギーを計算することはできますか?

A. 結合した状態と解離した状態の安定な構造の量子化学計算を行い、そのエネルギー差から計算してください。解離状態の2分子は別々に計算して、その際スピン・電荷の設定は慎重に行ってください。

13.11. MOPAC, CNDO/S, GAMESS, NWChem, Gaussianに関して

13.11.1. Q. 量子化学計算の実行中にエラーが起こるがどうしたらいいですか。

A. まずはWinmostarのチュートリアルをトレースしてください。それで失敗する場合は環境構築に失敗している可能性があります。Gaussianについては、並列計算が可能なライセンスかどうかも確認してください。
次に、プロジェクトモードで計算した場合は、該当する計算の作業フォルダのエラー欄を確認してください。マウスのポインタを作業フォルダ上に置いても、エラーを確認できます。エラーメッセージがよくある質問の中にあれば、そこに書かれた対処方法を試してください。特に大きな分子のIR計算では、デフォルトのメモリ指定量では足りずに止まることがあります。
エネルギー(SCF)計算が収束しない場合は、以下の内容を確認もしくは試してください。
- 初期構造、電荷、スピン多重度が適切かどうか確認してください。
- 大きな基底関数、分散(diffuse)関数を使うと収束が難しくなります。より小さな基底関数の利用を検討してください。
- GAMESSのDFT計算で「CONVERGED TO SWOFF, SO DFT CALCULATION IS NOW SWITCHED ON」の表示の後、収束に近づかずに「DFT CODE IS SWITCHING BACK TO THE FINE GRID」の表示が出ない場合は、Keyword SetupウィンドウのDFTタブで変数NRAD0及びNLEB0の設定をしてください。
- Gaussianの場合、小さな基底関数の結果を初期軌道にすると大きな基底関数でも収束する可能性が高くなります。プロジェクトモードでは、まず小さな基底関数でエネルギー計算を行い、次に継続ジョブとして大きな基底関数での計算を行います。その際に継続元は小さな基底関数の計算を指定して、さらにKeyword Setupウィンドウでguess=readにチェックを入れてください。

13.11.2. Q. MOPAC、GAMESS、Gaussian、NWChemのキーワード設定ウィンドウやEasy Setupウィンドウで、使用したい計算手法(Hamiltonian)、基底関数(Basis Set)が選択肢の中に見つかりません。どのように設定したらいいですか?

A. 計算手法、基底関数の設定欄に直接キーボードで入力できる場合は、直接入力することができます。分極関数(「*」や「p」「d」「f」で表現されるもの)の指定方法はソルバごとに記述が異なることがあるので、それぞれのソルバのマニュアルを確認してください。

13.11.3. Q. 入出力ファイルを開くときや結合を再生成する際に、結合はどのように判定されますか?

A. 結合判定基準 を参照してください。

13.11.4. Q. 系のモデリング中や、計算結果を読み込んだ際に、不要な結合が表示されます。または結合が表示されません。どのように対処したらいいですか?

A. こちらのFAQ を参照してください。

13.11.5. Q. Winmostarから量子化学計算を用いて部分構造の最適化は可能ですか?

A. V11.3.1時点での対応は以下のようになっています。
MOPAC6: Z-Matrixのみ対応
GAMESS: 非対応
Gaussian: Z-Matrixのみ対応(opt=z-matrixが必要)
NWChem: Z-Matrixのみ対応

13.11.6. Q. MOPACで計算できる最大原子数はいくつですか?

A. 重原子(水素以外)70、軽原子(水素)90です。
マニュアルページ から大分子対応版MOPAC6の実行バイナリ(最大420原子)をダウンロードして使用することもできます。
WinmostarはMOPAC2016での動作を確認しています。
MOPAC2016は原子数の制限はなく2021年から無料で利用できます。

13.11.7. Q. MOPACのログに ATOMS **, **, AND ** ARE WITHIN .**** ANGSTROMS OF A STRAIGHT LINE と表示されて異常終了します。

---------質問詳細---------
以下のように3原子が直線になったというエラーが出て止まります。
CALCULATION ABANDONED AT THIS POINT

THREE ATOMS BEING USED TO DEFINE THE
COORDINATES OF A FOURTH ATOM, WHOSE BOND-ANGLE IS
NOT ZERO OR 180 DEGREEES, ARE IN AN ALMOST STRAIGHT
LINE. THERE IS A HIGH PROBABILITY THAT THE
COORDINATES OF THE ATOM WILL BE INCORRECT.
THE FAULTY ATOM IS ATOM NUMBER 69
最後に、
ATOMS 68, 57, AND 54 ARE WITHIN .0134 ANGSTROMS OF A STRAIGHT LINE
と出ます。

A.
角度が180°近くになる角度がZ-Matrixに含まれている場合に表示されます。
メインウィンドウ右下の座標編集機能で、接続先の原子を変更し、Z-Matrixから180°に近い角度がなくなるようにしてください。
Z-Matrixに慣れていない場合は、これ以外の方法として、キーワードに"XYZ"を追加すると、このエラーを回避できることもあります。
あるいは、3原子が直線に並ぶ線上から外れた位置に、原子種XXのダミー原子を追加し、直線に並ぶ原子のZ-Matrix上の接続先として指定することで,
エラーを回避できることもあります。

13.11.8. Q. MOPACを実行するとログに「UNRECOGNIZED KEY-WORDS: ( PM6(ハミルトニアン名))」と出力され計算が終了してしまいます。

A. MOPACキーワード設定でHamiltonian=AM1に変えると動く場合は、使しているMOPACが対応していないハミルトニアンを選択していることによるエラーが出たことになります。
WinmostarマニュアルのMOPACの各バージョンがサポートする ハミルトニアンの一覧 をご確認の上、適切なハミルトニアンを選択してください。
それでも動かない場合は 一般的な不具合 の対処を実施してください。

13.11.9. Q. Winmostarに付属のMOPACで溶媒効果(COSMO法)を使用するにはどうしたらいいでしょうか。

  1. Winmostarに付属のMOPACは溶媒効果(COSMO法)に対応していません。MOPACより計算時間が掛かりますがより精度の高いGAMESSを用いた計算をご検討ください。

13.11.10. Q. Winmostar内蔵以外のMOPAC(MOPAC2016など)で計算すると、一部の分子軌道しか表示されません。

  1. MOPAC SetupウィンドウのALLVECSにチェックを入れて入力ファイルを作成して、計算をしてください。

13.11.11. Q. CNDO/SでMethod=INDOを使用したときに計算できません。

A. F以降の元素は同プログラムのMethod=INDOでサポートされていません。
Method=CNDOにするか、GAMESSなどの非経験手法を使ってください。

13.11.12. Q. GAMESS, Gaussian, NWChemで計算可能な最大原子数(必要メモリ)の目安はありますか?

A. 分子サイズ、基底関数、計算内容、並列数によって必要メモリ量が変わるため、シンプルな目安はありません。
実際に計算を実行し、メモリ不足で計算が止まった場合ログファイルにどのくらい足りないかが書かれているため、その値をもとに判断するのが一般的です。

13.11.13. Q. GAMESS, Gaussian, NWChemのESP(静電ポテンシャル)の3次元表示を高速化することはできますか?

A. Windows版Gaussianをインストールしている場合は、Cubeファイルを開いた際に出現するCubegenウインドウにおいてCubegenチェックボックスにチェックを入れると、Gaussianに付属するCubegenプログラムを使用し比較的高速に処理することが可能になります。
将来的にはWinmostar付属のcubeファイル処理プログラム(OpenCubegen)を高速化する予定です。

13.11.14. Q. GAMESSの実行時に「* ERROR: MEMORY REQUEST EXCEEDS AVAILABLE MEMORY」などとログに出力され計算が異常終了します。

A. インプットファイルで指定したメモリ量では足りていないことを意味しています。
GAMESSキーワード設定ウィンドウのAdvancedタブの$SYSTEM欄のMWORDSの数値を大きくしてください。(MWORDSの数値)x8MBが1CPUコア当たりの上限使用メモリ量になり、例えばMWORDSが200であれば1CPUコア当たりの上限は200x8MB=1600MB=1.6GBになります。ご使用の計算機及び並列数に合わせてMWORDSを設定してください。

13.11.15. Q. Windows版GAMESSをインストールした直後は問題なく利用できていたが、ある時期から計算が全て途中で異常終了するようになりました。対処方法はありますか?

A. まずは 一般的な不具合 の対処を実施してください。それでもうまくいかない場合は、次の操作を順に実行してください。
1. GAMESSのイントーラを起動→Removeを選択→GAMESSをアンインストール
2. Windowsの設定→アプリ→アプリと機能→Microsoft MPIを選択→Microsoft MPIをアンインストール
3. Winmostarインストールガイドにある、Windows版GAMESSインストールマニュアルの内容に従ってGAMESSとMS-MPIを再インストール
特に、GAMESS実行時に、コンソールウィンドウに「mpiexec ...(中略)... server rejected credentials」などと表示される場合はこの方法が有効な場合があります。

13.11.16. Q. GAMESSにおいて、1原子だけの系の計算で「WARNING. NUMBER OF INTERNAL COORDINATES IS GREATER THAN (3N-6), BUT NO SYMMETRY COORDINATES ARE GIVEN.」と表示されて異常終了します。

A. 原子が1個だけの系においてZ-matrixを使うことによる不具合を示すメッセージになります。
この場合は直交座標を使う(COORD=UNIQUEにする)ことで解消します。
WimostarのGAMESSキーワード設定ウィンドウにおいて、COORDをUNIQUEに変更してください。

13.11.17. Q. GAMESSのログに「 **** ERROR **** PCM SPHERE(S) MUST HAVE A POSITIVE RADIUS 」と表示され異常終了します。

A. Cavity半径がGAMESSに内蔵されていない原子が含まれている可能性があります。
Cavity半径を指定するためには、$PCM行の直後に次のステートメントを追加してください。
$PCMCAV RIN(13)=1.55, RIN(15)=1.55 $END
この例では13番目と15番目の原子にCavity半径を与えます。

13.11.18. Q. GAMESSの実行時に「ERROR: BAD DELOCALIZED COORDINATES GENERATED!!!」とログに出力され計算が異常終了します。

A. WimostarのGAMESSキーワード設定ウインドウにおいて、Z-Matrixタブを選択 --> $ZMATのチェックを外してください。

13.11.19. Q. GAMESSでNMR計算を実行しようとする(RUNTYP=NMRで計算をする)とエラーが出ます。

A. GAMESSのNMR計算は閉殻のHartree-Fock法のみ対応しており、その他DFT法等では実行できません。
また、GAMESSのNMR計算の実行速度は遅いこともあるので、代わりにNWChemやGaussianを使うことをお勧めします。
どうしてもWinmostarからGAMESSで計算したい場合は、SetupウインドウのAdvancedタブの$SCF欄のDIRSCFのチェックを全て外してください。
また並列計算に対応していないので並列数は1にしてください。
エラーで止まった際のログに詳細な指示が書かれているので、そちらも参考にしてください。

13.11.20. Q. GAMESSでDiffuse関数を使うとSCF計算が収束しません。

A. GAMESS SetupのBasicタブの$CONTRL枠にあるOthers欄にICUT=11を追記して、2電子積分のカットオフ値を小さく(厳しく)してください。

13.11.21. Q. 一部の分子において、Fireflyのoptimaize実行後、分子軌道UVvis…を確認すると、「'*******' is not valid floating point value」というエラーがでます。

A. 基底関数に6-31+G*とdiffuse関数の+が加わっているため、基底の線形従属性が大きくなっています。
そのため、分子軌道係数の値の一部が非常に大きくなり、ログ中に****と出力されます。

解決方法としては、
1. 6-31G*基底関数を使う
2. 6-31+G*を使うのであれば、FireflyではなくGAMESSで計算する
が挙げられます。

線形従属性の処理がGAMESSには入っているため、
FireflyとGAMESSではエネルギー値が少し異なる可能性があります。
FireflyかGAMESSどちらかで統一して、一連の計算を行ってください。

13.11.22. Q. GAMESSで構造最適化計算を実行し「THE GEOMETRY SEARCH IS NOT CONVERGED!」というメッセージが出た際の対処方法を教えてください。

A. アニメーションで構造最適化の情報を表示して、エネルギーが下がり続けていれば、構造最適化サイクル数が足りずに計算が終わっています。最終構造で再度構造最適化計算を行ってください。
ある程度大きい分子(概ね100原子以上)では、DLC=.T.を付けて構造最適化すると構造が大きく崩れることがあります。その場合は$MATのSet DLC=.T.... のチェックを外して実行すると解消する場合があります。

13.11.23. Q. GAMESSのインストーラをダウンロードできません。どのようにしたらいいですか?

A. ダウンロードサイトでエラーが出て登録フォームが表示されない場合、他のブラウザで試してください。Microsoft Edge の場合は、Internet Explorer モードでアクセスし直してください。また、ダウンロードサイトのシステムが落ちていることがたまにありますので、その場合は最大一週間程度お待ちください。

13.11.24. Q. GAMESSのDFT計算で「CONVERGED TO SWOFF, SO DFT CALCULATION IS NOW SWITCHED ON」の表示の後、収束しません。対処方法はありますか?

A. GAMESSのDFTエネルギー計算は、収束性を高めつつ計算効率を上げるため通常3つのステップで行います。まずHartree-Fock計算、続いて荒いgridでのDFT計算、最後にデフォルトもしくは入力で指定されたgridでのDFT計算となります。「CONVERGED TO SWOFF, SO DFT CALCULATION IS NOW SWITCHED ON」が表示されると第2段階の荒いgridでのDFT計算が始まりますが、分子によってはgridが荒すぎて収束せずに、第2段階が収束したことを意味する「DFT CODE IS SWITCHING BACK TO THE FINE GRID」が表示されない場合があります。
第2段階のgrid点数を増やすため、GAMESS Keyword SetupウィンドウのDFTタブのOthers欄に「NRAD0=99 NLEB0=302」を記入してください。

13.11.25. Q. NWChemの並列実行時に「Please specify an authentication passphrase for smpd: 」とログに出力され計算が流れません。

A. MPICH2インストール時にパスフレーズ(passphrase)を省略してしまうとそのようなエラーになる場合があります。
解決方法はいくつかありますが、MPICH2を一旦アンインストールしてから、再度インストールすると解決することがあります。
その場合は、MPICH2のアンインストール前にsmpdをストップし、MPICH2の再インストール後にsmpdをインストールする必要があります。
また、64bitのWindowsで32bitのMPICH2を使用している場合は、64bit版を使用してください。

13.11.26. Q. NWChemの実行時に「sym_geom_project: sym_center_map is inconsistent with requested accuracy」とログに出力され計算が流れません。

A. 構造がNWChemの分子対称性判断基準からわずかに外れた場合、エラーで止まります。Winmostarメインウィンドウの[ツール]-[点群解析]を選択し、[Analyze]、その後[Symmetrize]をクリックして正確な対称性を持った構造にするか、キーワード設定ウィンドウのAdvancedタブのnoautosymにチェックを入れるか、もしくは原子1つを少し動かして対称性を崩した構造にしてください。

13.11.27. Q. NWChemで溶媒効果を入れる方法を教えてください。

A. NWChemワークフロー設定もしくはキーワード設定ウィンドウのSolventタブのSolventに溶媒名を入力してください。対応している溶媒分子は https://nwchemgit.github.io/COSMO-Solvation-Model.html#solvents-list-solvent-keyword をご覧ください。

13.11.28. Q. Gaussianで計算が正常に実行される時とされない時があります。

A. シングルコア版のGaussianの場合は、2つ以上ジョブを実行しようとするとGaussianが強制終了します。シングルコア版のGaussianを使い、Winmostarで2つ以上のGaussianのローカルジョブを逐次実行したいときは、各ジョブの並列数(%nprocまたは%nprocshared)を1にした上で、Winmostar JMのMax Coresを1に設定してください。

13.11.29. Q. Gaussianのlogファイルを読み込んだのですが、軌道(固有)エネルギーなどが表示されません。

A. 実行したGaussianの入力ファイルにpop=fullとgfprintが抜けている場合は表示されません。
Gaussian入力もしくは出力ファイルをWinmostarで開くと、構造だけでなく計算条件も読み込まれます。Winmostar以外で作成された入力もしくはその出力ファイルでは、pop=fullとgfprintが設定されていないことがあるため、そのようなファイルを開いてキーワード設定をする場合、pop=fullとgfprintが設定されているか確認をしてください。

13.11.30. Q. Gaussianでchkファイルを読み込んだ計算を実施する方法を教えてください。

A. リモートジョブの場合はSubmitJobウィンドウで[Advance]のチェックを入れ、[Delete *.chk]のチェックを外すとchkファイルが残され、その上でchkファイルを生成した時と同じ名前でジョブを流すとchkファイルを読み込んで計算が流れます。
--Link1-- を使う方法の方が設定自体は簡便なため、こちらの使用もご検討ください。

13.11.31. Q. 数GBのGaussian fchkファイルを読み込ませて分子軌道を表示させようとするとエラーが出ます。

A. おおむね2GB程度のfchkファイルまで対応しています。上限サイズは、分子サイズ、基底関数に依存します。将来的にはfchkファイルサイズの制限を解消する予定です。

13.12. LAMMPS, Gromacsに関して

13.12.1. Q. これから分子動力学計算を実施してみたいのですがLAMMPSとGromacsのどちらを使ったら良いですか?

A. 迷われているようでしたらLAMMPSをお勧めします。LAMMPSはGromacsより低速ですが、対応する力場の種類が多く、非平衡計算のスキームを柔軟に組むことができます。仮に長時間の計算が必要になった場合は、その段階でGromacsへの移行を検討する、というのでも問題ないかと思われます。Winmostarを使うとLAMMPSもGromacsも同じ操作感で利用することができ、比較的容易に移行することが可能です。

13.12.2. Q. 分子動力学計算の実行中にエラーが起こるがどうしたらいいですか。

A. まずはWinmostarのチュートリアルをトレースしてください。それで失敗する場合は環境構築に失敗している可能性があります。
次に、エラーに再現性があるか確認してください。再現性がない場合は、環境(ハード・ソフトのいずれかまたは両方)の問題か、乱数由来の問題であることが多いです。
次に、各成分1分子、電荷なしで計算してください。それでもエラーが出る場合は力場の種類も変更してください。
各成分1分子、電荷なしでエラーが出なかったら、電荷を設定したり分子数を増やして挙動を観察してください。
次に、長時間の計算でエラーが出る場合、平衡化の時間を長くしてください。
平衡化の過程でエラーが出る場合は、以下の方法を試してください。
- 並列計算をしない。並列数を1にする。
- 温度・圧力制御にBerendsen法や速度スケーリング法を使う。
- 保存量(全エネルギー、拡張ハミルトニアン)の保存を確認し、時間刻みを小さくする。
- 倍精度を使う(Gromacsの場合)
- 拘束(SHAKE法など)を使わない。その代わり時間刻みを0.1 fs程度にする。
- セルサイズがカットオフ半径の2倍を下回る場合はソルバの実装上計算が破綻するため、分子数を大きくしてセルサイズを大きくし再度計算する。
- 計算を短いステップ数で区切り、継続を繰り返す。(特に圧力制御時に初期密度と最終密度が大きく異なる場合に有効)
- 初期密度を変更する(増やす、減らす)。
NVT計算までは正常に終了するがNPT計算で破綻する場合は Q. 圧力制御(NPT一定またはNPH一定)を行うと、計算が途中で破綻します。解決方法はありますか? を参照してください。

13.12.3. Q. 分子動力学計算においてどのように系を平衡化したらいいですか。

A. 低分子の平衡状態の凝集系(気体ではなく液体・固体のこと)計算が目的のケースについてまず述べます。
まず初期状態の分子を並べる際には、最終的な密度に極力近い密度に設定してください。
しかし、かなり低密度でないと並べられないときはそれで構いません。
その後、ポテンシャルエネルギー、温度、密度の変化が収束するまで、エネルギー極小化、温度一定計算、温度圧力一定計算を流してください。
初期密度が低すぎた場合は、温度圧力一定計算で、目標圧力よりも高めの圧力(例えば100倍程度)で一旦圧縮してください。
最終的にアンサンブル平均の物理量に関心があり、平衡化後に目標温度・圧力に達しているならば、細かい平衡化手順の差は計算結果に大きな影響を与えることは少ないです。
高分子、ガラスの場合は、真の意味で平衡状態を得るには、現実的な計算時間では不可能な場合がほとんどのため、エネルギー、温度、密度の収束の加え、観察したい物理量に影響が大きいと思われる物理量の相関が0に到達する程度の時間平衡化計算を実施します。
気体の場合は圧力制御は不安定なため、エネルギー極小化と温度一定計算のみで平衡状態を得ます。

13.12.4. Q. MD計算においてSHAKE法などによる拘束は計算結果にどのような影響を与えますか?拘束方法はどのように選んだらよいですか?

A. SHAKE法、RATTLE法、LINCS法、SETTLE法を共有結合する原子間に適用し結合長を拘束することで、時間刻みを大きく取り、同じ計算量でもより長時間の現象をより安定して観察できるようになります。安定、というのは、ハミルトニアン(全エネルギー)の保存の観点で、になります。
拘束しない場合に共有結合を表現する関数も実現象を高精度に表現しているわけではないので、安定した計算が流れているという前提のもと、算出される各種の物性に与える影響という点では、拘束する場合・しない場合のどちらも、それぞれの事情による実現象からのずれが生じています。
分子内の振動運動自体に計算の目的がない限りは、長時間安定してハミルトニアンが保存する条件を都度選択することを基本的には推奨します。
ただし、水素原子の結合は、拘束しない場合は系内で突出して高速に運動し、ハミルトニアンのドリフトの原因になりうるので、多くの場合は水素原子の結合については拘束します。

13.12.5. Q. MD計算を実行後、アニメーションを観たり、最終構造を見ていると、分子がセルの外側に出てしまうことがあるのはなぜですか?

A. 周期境界を使用していると、分子の実体は周期境界のセルの内側に収まるべきです。
しかし、Gromacs、LAMMPSなどのソルバは、平均二乗変位などを計算するために、セルの境界を分子が跨いでも、座標を折り返さずにそのまま並進移動した値でトラジェクトリを記録しています。
どちらにしても、結果解析時には適切に考慮され同じ結果が出力されますので、結果解析への悪影響はありません。
セルの外側に分子が飛び出る様子が見た目としてよくない場合は 表示 - 周期境界条件の表現形式 の設定を調整してください。

13.12.6. Q. タンパク質のような大規模な分子に[溶媒を配置/セルを構築]メニューでセルから水分子を追加してセルを作成するとセルから分子がはみ出ることがあります。

A. [表示]-[周期境界条件の表現形式]で[セルの内側に原子単位で再配置]としてタンパク質と水分子が干渉していないようでしたら、計算上は問題ありません。
見た目のだけ問題ですがタンパク質を中心にしたい場合は、溶媒を追加する前に中心付近の原子を選択して、[編集]-[座標系の取り直し]-[選択原子の位置を原点に設定]を実行して分子を中心付近に移動させてください。

13.12.7. Q. [MD]-[溶媒を配置/セルを構築]や[分子の挿入]の処理が何分経っても終わりません。解決方法はありますか?

A. 密度を小さくしてください。分子が比較的小さいとき(概ね30~40原子以内)の時は到達予想密度の50~75%程度に設定してください。分子が大きいときや分子の形状によってはさらに密度を小さくする必要がある場合もあるので(数%~10%など)、少しずつ小さくしながら挙動を観察してください。初期密度が本来の密度から大きく外れていても、MD計算を圧力制御付きで実行することにより最終的には適切な密度に変化していくことが期待されます。

13.12.8. Q. [MD]-[自動で電荷を割り当て]メニューで「Topology file not found」というエラーが表示されます。解決方法はありますか?

A. 電荷を割り当てようとしている分子がAcpypeに対応していない可能性があります。[ファイル名]_charge_tmpフォルダ以下のlogファイルや、sqm.outファイルを確認してください。対応していない原子がある場合は、MOPACやQMで電荷を割り当てるか、手動で入力してください。

13.12.9. Q. 力場を割り当てで処理に時間が掛かり終わりません。解決方法はありますか?

  1. 特に力場の種類にGAFF, OPLS-AA/L+GAFFを選択した場合に処理に時間が掛かることがあります。これは、GAFF, OPLS-AA/L+GAFFの割当にacpypeを使用しており、acpypeの処理が遅いために発生しています。1分子が10000原子近い高分子の場合は、5-6時間程度待てば処理が正常終了することを確認しております。環境によってはこれよりも速い場合もあり、逆に遅い場合もあります。将来のWinmostarではこれらの力場の割当処理の高速化に取り組むことを予定しております。

13.12.10. Q. 力場を割り当てでエラーが表示されます。解決方法はありますか?

A. 力場を割り当てようとしている分子がAcpypeに対応していない可能性があります。[ファイル名]_top_tmpフォルダ以下のlogファイルや、sqm.outファイルを確認してください。対応していない原子がある場合は、UFFやDreidingなどの汎用性のある力場をお試しください。

13.12.11. Q. Gromacs, LAMMPS(分子動力学計算)から誘電率を計算できますか?

A. 誘電率は外場の周波数に依存した物性であり、また周波数帯ごとにメカニズムも違うため、一概にお答えすることはできません。
WinmostarのGromacs, LAMMPSから計算される誘電率は、分子内分極が時間変化しない前提での、分子の配向に由来する成分です。
そして、その中でも、分子動力学計算のシミュレーション時間内における系全体の双極子モーメントの揺らぎから計算される、無限に遅い低周波の極限の値となります。
ポリマーのように分子量が大きく緩和が遅い物質の場合はシミュレーション時間内に観測できる範囲での情報しかわからないため注意が必要です。
WinmostarのQuantum ESPRESSOから計算される誘電関数は、原子座標が固定された状態での電子の分極に由来する高周波成分の誘電関数です。
比較対象としている誘電率の実験値の取得方法や、材料の性質、研究目的を考えたうえで、計算をプランニングする必要があります。
なお、弊社の有償サポートでプランニングのお手伝いをすることが可能です。

13.12.12. Q. 界面ビルダで作成した構造からMD計算を実行しようとすると、力場の割り当てが失敗したりMD計算破綻します。解決方法はありますか?

A. 接合箇所の間隔が短いと、両層の分子が衝突し、望まない共有結合が原子間距離から判定され生成されてしまったり、MD計算開始時に大きな力が働きMD計算が破綻することになります。平衡化に時間が掛かってしまいますが、界面ビルダの[Direction]-[Interval]の値を大きくし、長い時間を掛けて平衡化をするのが一番良い方法となります。

13.12.13. Q. 圧力制御(NPT一定またはNPH一定)を行うと、計算が途中で破綻します。解決方法はありますか?

A. まず、気相や気相中に他の相が分散しているような、分子間の相互作用が極めて弱い状況では、圧力制御は安定しにくいため、圧力制御を使わない方法も試してください。次に、破綻した計算において密度の時間変化を確認し、何が起こっているか確認してください。また、圧力制御を行う前に、密度一定で十分エネルギー・温度・圧力が平衡化している必要があります。密度一定での平衡化が終わった時点で、圧力(の平均値)は0またはマイナスである方が望ましいです。密度一定での平衡化終了時点で圧力の値が大きいと、圧力制御を開始した直後にシステムサイズが急激に変化します。密度一定での平衡化終了時点での圧力を小さくしたい場合は、初期密度を小さくしてください(最終的な密度のおおよそ50%程度)。それでもなお解決しない場合は、(1) 圧力制御をParrinello-Rahman(Nose-Hoover)法ではなくBerendsen法に切り替える、(2) 圧力制御の時定数を大きくする、(3) 圧力制御を入れた計算を短く何回かに分割する、ということで改善するかと思われます。

13.12.14. Q. LAMMPS, Gromacsで液体(有機物)-固体(無機物)間の相互作用パラメータをどのように決めたらいいですか?

A. まず、着目している液体-固体界面について分かっている実験事実や関連研究について可能な限り情報収集します。特に、表面の原子レベルの構造(ミラー指数、官能基など)や化学的性質(濡れ性や、疎水的か親水的かといった大雑把なもの)が分かることが望ましいです。

LJパラメータと電荷の値が適切な関連研究の文献に載っている場合は、その値を使うのがベストです。Winmostarでは次のように値を設定します。
- 電荷については、一度mol2形式で保存し、電荷の値を論文の値に書き換える。
- LJパラメータについては、[力場を割り当て]機能で[Exception]から各元素の値を入力します。

適切な値が載っている文献はなかったが、ある程度化学的性質が分かっている場合は、電荷、LJパラメータを何通りか変えてシミュレーションを実行し、計算結果を比較して妥当と思われるパラメータを採用します。

表面の原子レベルの構造しか分かっていない場合は、第一原理計算(Quantum ESPRESSO)を併用してパラメータを決めます。
電荷の決定には、Quantum ESPRESSOのLowdin電荷機能を流用する場合もあります。ただし、Lowdin電荷を使う場合は電荷の合計値が0とならないため値の微調整(全体的にシフトさせるなど)が必要です。また、Lowdin電荷では分極が過大評価されることもあり注意が必要です。
LJパラメータについては、既知のパラメータ(Dreiding, UFF, CLAYFFなど)を使うか、第一原理計算からForce Matchingなどのアルゴリズムを用いて算出します。

このように液体(有機物)-固体(無機物)間の相互作用パラメータが複雑となっているのは、以下の事実に由来します。
1. 古典MDでは原子位置に相互作用パラメータ(epsilon, sigma, 電荷)が依存しないという仮定を置くが、有機物-無機物界面系では有機物-有機物系に比べ、その近似が大きな誤差を生じる。
2. 現実のデバイス中の無機物表面は酸化膜などに覆われているが、実験観察も容易ではなく、原子解像度で正確にモデリングすることが難しい。

13.12.15. Q. Gromacsの最終構造やアニメーションを読み込んで取得した構造や、それに何かしらの編集を行ってから再びMD計算を実行すると力場の割り当てが失敗したりMD計算が破綻します。解決方法はありますか?

A. Gromacsの不具合により分子が分離している可能性があります。分子が分離しているか否かは、[選択]-[分子種によるグループ選択]を表示し、想定していない成分が含まれているかを確認することで判断できます。分離していた場合は Gromacsのトラジェクトリを読み込んだ構造または、最終構造において、本来繋がっているべき分子がバラバラに表示される。 をご参照ください。

13.12.16. Q. Gromacsにおいて最終構造やアニメーションを読み込むと分子がバラバラに表示されることがありますがなぜですか?

13.12.17. Q. GromacsのER法結果読み込みを実行しても結果が表示できません/エラーが出ます。

A. ER法を実行する際に指定した出力先ディレクトリに生成されるermod.outの内容を確認してください。
ermod.outの中に「 The minimum of the energy coordinate is too large; the ecdmin parameter needs to be smaller」と書かれている場合は、ER法実行ウィンドウの[Options]ボタンを押し、[For Solution System]のと[minimum value of the solute-solvent energy (ecdmin)]の値を小さくしてください。
具体的な値の設定方法など、詳しくは ERmodのwikiのFAQ を参照してください。
また、同様にermod.outの内容と ERmodのwikiのFAQ全般 の内容を照らし合わせ、ermodの設定の変更が必要な場合はER法実行ウィンドウの[Options]で設定してください。

13.12.18. Q. LAMMPSのログに「Out of range atoms - cannot compute PPPM」というエラーメッセージが出力され計算が異常終了します。対処方法を教えてください。

A. そのメッセージは一般的な意味でのMD計算の破綻の際に表示されます。 Q. 分子動力学計算の実行中にエラーが起こるがどうしたらいいですか。 を参照してください。

13.12.19. Q. 特定原子の軌跡をプロットする方法を教えてください。

A. 以下のように操作してください。
1) アニメーションを表示
2) 分子表示エリアで軌跡を描画したい原子をクリック
3) アニメーション操作エリアで[Custom Plot]をクリック
4) [X axis]の2番目の項目をチェックし、「Atomic position (x)」を選択(適宜適切な方向を選択)
5) [X axis]の[Apply]をクリック
6) [Y axis]の2番目の項目をチェックし、「Atomic position (y)」を選択(適宜適切な方向を選択)
7) [Y axis]の[Add]をクリック
8) [Y axis]の「Atomic position (y)」以外のチェックを外す
9) グラフの下の[X Axis]と[Y Axis]の[Autoscale]を外し[Min]と[Max]を適宜設定
なお、以上の操作を簡略化した機能を開発予定です。

13.12.20. Q. 散逸粒子動力学(DPD)計算で直観的とは異なる結果が得られました。なぜでしょうか。

実際の分子集合体をDPDモデルで近似する道筋は一通りではなく、そこが不適切だったことが考えられます。また、DPD粒子間の相互作用はかなり大胆にモデル化されており、表現したい系がそもそもDPDの表現力を超えていることも考えられます。DPDモデル含め粗視化MDモデルの構築は個別性が極めて高く対処療法的な提案は根本の解決につながらないことが多いため、基本的にWinmostarのサポートとしては大元の研究目的を伺うところから含めた個別コンサルティングとして対応させて頂きます。

13.13. Quantum ESPRESSO, OpenMXに関して

13.13.1. Q. 手順通りQuantum ESPRESSOの擬ポテンシャルファイルをインストールしたが認識されません。

A. 拡張子が.UPFの擬ポテンシャルファイル(例えば O.pw-mt_fhi.UPFAu.pbe-dn-rrkjus_psl.0.1.UPF など)をQuantum ESPRESSOのインストールフォルダの下のpseudoフォルダ(デフォルトではC:\Program Files\Quantum ESPRESSO 64-bit 5.2.1pseudoなど)にコピーしてください。ただし、旧Internet ExprolerなどのブラウザでUPFファイルをダウンロード・保存すると、拡張子が勝手に変更されたりと不具合が報告されているので、EdgeやChromeなどのブラウザも試してください。

13.13.2. Q. Quantum ESPRESSOの擬ポテンシャルファイルの探し方が分かりません。どのように探したらいいですか?

13.13.3. Q. Quantum ESPRESSOを用いた計算が失敗します。計算結果の表示でエラーが出ます。

A. まずは 一般的な不具合 の対処を実施してください。
次に、WinmostarではQEの各モジュールをバッチ処理で連続実行しているので、Winmostarが生成したbatファイル(ローカル実行の時)またはshファイル(リモート実行の時)に記述された処理の流れを見ながら、生成された出力ファイル(pwoutまたはout)ファイルを順番に確認してください。
例えば、フォノン計算の場合はph.xの出力ログ(ph.out)を確認してください。
最初に「Error in routine ...」などのエラーが出現した箇所の対処を施し、再度ジョブを実行してください。
特定のキーワードに関するエラーは、そのキーワードの設定を 公式サイト でご確認ください。
典型的なQEのエラーの対処方法は 公式サイトのFAQ に記載されています。
nosym=.True.に変更して計算が流れる場合は、原子配置の対称性の検出に由来した不具合が発生していることがあります。

13.13.4. Q. Quantum ESPRESSOを用いてPhonon計算を実行する際に、ph.xの出力(ph.out)に「third order derivatives not implemented with GGA」と表示され計算結果を取得できません。

A. GGAでない擬ポテンシャルを選択することで解消します。

13.13.5. Q. Quantum ESPRESSO, OpenMXのSCF計算または構造最適化計算が収束しません。

A. 以下の対策を順に実施してください。
必ず試すべきこと:
・第一原理計算は設定項目が多いので、適当に計算条件を変えず、きちんと記録を取りながら一連の計算を流す。
QEの一般的な不具合 の対処を実施する。
・QEではEstimated accuracyをSCFサイクル数に対しプロットする。両対数プロットならなおよし。その上で本当に収束しない傾向にあるかチェックする。
・スピン分極状態・電荷が妥当か調べる。
・up/downスピンの並び方を与える。
・Hexagonal結晶でK_POINTSのシフトを行っていたらシフトを外す。
・系全体の磁気モーメントを拘束する。
・尤もらしい初期構造を使う。
・実験や他の計算手法で得られた構造を使う。
・界面(吸着)モデルなら表面モデルのみ、表面モデルならバルクモデル、欠陥モデルならバルクモデル、といった形でより単純なモデルで計算が収束するか確認する。
・計算する上で配置に任意性のある原子(X線で見えない軽元素、固溶体、欠陥、非整数の組成、スラブ表面の終端構造など)がある場合は、違う配置を試す。
・スラブの場合は終端構造の切り出し方や修飾を再考する。
・固溶体・欠陥を含むようなケースでは、系内に大きなダイポールモーメントが生じないような初期構造にする。

次に試すこと:
・mixing_mode, diagonalizationを調整する。
・mixing_betaを小さくする。
・nbndを増やす。
・擬ポテンシャルファイルの種類を変える。
・スピン分極の初期値を調整する。(原子単位または系全体)
・スラブモデルなどで系全体がダイポールモーメントを持つ可能性がある場合は、ダイポール補正の使用か、ESM法の使用か(bc=1)、表面組成の変更を検討する。
・Uパラメータを使っている場合はU=0から徐々に増やして挙動を確認する。
・外部電場、欠陥、吸着など比較的複雑な条件を設定している場合は、それらをなくしたよりシンプルな条件で試し、その計算が収束したなら、その計算の終状態(原子配置・波動関数など)を始状態として計算を開始する。
・収束しなかった計算の途中から計算を開始する(SCFのアルゴリズムは履歴に依存するため)。

計算時間・計算精度との兼ね合いで試すこと:
・カットオフエネルギーを大きく取る。
・K点を多めにとる。

計算精度との兼ね合いで試すこと:
・スピン分極計算の場合はひとまずスピン分極なしで収束するか確認する。
・smearingを調整する(使用有無・種類・幅)。
・SCFの収束パラメータを緩くする。

13.13.6. Q. Quantum ESPRESSOで、電子密度、スピン密度、ポテンシャルの3次元分布を可視化できません。

A. まずはWinmostar チュートリアルのQuantum ESPRESSO基礎編をトレースし、小さいシステムサイズでそれらが表示できるか確認してください。できない場合は Q. 思ったようにモデルを作成できません。計算できません。動作しません。 を参考に環境を再構築してください。チュートリアルは正常動作するが動かない場合は、まずcubeファイルが作業フォルダに生成されているか確認してください。cubeファイルが生成されていた場合はWinmostar Viewerの問題に由来する場合があるので Winmostar Viewerでサイズが大きいcubeファイルを開けない。 を参考に対処してください。

13.13.7. Q. Quantum ESPRESSOのSCF計算が出力ファイル(.pwoutまたは.out)に「too few bands」と表示され異常終了します。nbndの設定方法が分かりません。

A. まずは QE公式のマニュアルのnbndの説明 をご確認ください。
nbndを使わずに計算を流すと、QEが自動でnbndを適当に設定して計算するので、Winmostarのキーワード設定画面で「Use nbnd」のチェックを外してください。
nbndを増やしたい場合は、nbndを使わずに実行したときにpwoutまたはoutファイルに出力される"number of Kohn-Sham states"の値よりも大きい値をnbndに設定してください。
また、Winmostarのキーワード設定画面の「Use nbnd」のところに表示される「# valence bands: 」の値も参考にしてください(詳細は 固体 ‣ Quantum ESPRESSO メニュー を参照)。

13.13.8. Q. Quantum ESPRESSOのSCF計算が出力ファイル(.pwoutまたは.out)に「fixed occupations and lsda need tot_magnetization」と表示され異常終了します。どのように解決したらいいですか?

A. occupationsにsmearingを指定するか、starting_magnetizationではなくtot_magnetizationを指定してください。

13.13.9. Q. Quantum ESPRESSOの構造最適化計算(vc-relax)が出力ファイル(.pwoutまたは.out)に「smooth g-vectors missing !」と表示され異常終了します。どのように解決したらいいですか?

A. pwoutまたはoutファイルの最後に出力されている構造を用いて再計算してください。Winmostar GUI上では、構造最適化のアニメーションを表示し、最終構造を表示した状態で新規にジョブを作成してください。

13.13.10. Q. Quantum ESPRESSOのSCF計算が出力ファイル(.pwoutまたは.out)に「charge is wrong」と表示され異常終了します。どのように解決したらいいですか?

A. まず Q. Quantum ESPRESSO, OpenMXのSCF計算または構造最適化計算が収束しません。 の手順を試してください。次に、Quantum ESPRESSOキーワード設定ウィンドウでoccupationsがsmearingになっていることを確認し、必要に応じてecutrhoを大きめ(400 Ryなど)に設定してください。

13.13.11. Q. Quantum ESPRESSOを用いて誘電関数を計算する際に、epsilon.xの出力(eps.out)に「bad band number」と表示され誘電関数を取得できません。

A. SCF計算でバンド数(nbnd)を増やすことで解消します。

13.13.12. Q. Quantum ESPRESSOを用いて誘電関数を計算する際に、epsilon.xの出力(eps.out)に「USPP are not implemented」と表示され誘電関数を取得できません。

A. SCF計算でノルム保存型の擬ポテンシャルを選択することで解消します。

13.13.13. Q. Quantum ESPRESSOを用いてPhonon計算に失敗し、計算結果を取得できません。

A. まずは、Phonon計算を実行せず、同じ擬ポテンシャルファイル、その他計算条件を使用してSCF計算が正常終了することを確認してください。次に、working directory(末尾が_qe_dataのフォルダ)の中のph.out(Phonon計算モジュールph.xの出力ファイル)を確認してください。そこに「The phonon code with US-PP and raman or elop not yet available」と書かれている場合は、ノルム保存型の擬ポテンシャルを選択することで解消します。同様に、PAWポテンシャルを利用している場合もラマン計算などがサポートされていないので、ノルム保存型の擬ポテンシャルを選択することで解消します。

13.13.14. Q. フェルミ面を出力しようとしてもそれらしきものが表示されません。

A. まず、可能なら対象の物質が金属であることを確認してください。次に、状態密度も出力し、フェルミエネルギーにおいて状態密度が0でないことを確認してください。

13.13.15. Q. Quantum ESPRESSO(バンド計算)から誘電率を計算できますか?

13.13.16. Q. Quantum ESPRESSOで汎関数の種類はどのように設定しますか?

A. Quantum ESPRESSOでは、汎関数ごとに擬ポテンシャルファイルが作られるので、基本的には擬ポテンシャルファイルを選んだ時点で汎関数が決定されます。一部の汎関数(HSE、vdw汎関数など)は、ベースとなる汎関数(例えばHSEの場合はPBE)で作られた擬ポテンシャルファイルを選択した上で、input_dftキーワードを使用して汎関数の設定を上書きします。

13.13.17. Q. Quantum ESPRESSOでセルサイズの構造最適化を行うと最終構造のエネルギーで不連続的な変化をしたりエネルギーが増加するのはなぜですか?

A. エネルギーの変化が最後にわずかに不連続になるのは、 Quantum ESPRESSOが、Pulay圧力に起因する問題を避けるために、最後の計算だけ利用する平面波セットを取り直しているからです。
このエネルギーの飛びは、カットオフエネルギーを大きくすることである程度軽減できます。
初期構造から最終構造が大きく異なる場合は、続けて再度構造最適化計算を実行します。

13.13.18. Q. Quantum ESPRESSOが原子数の少ない系では正常終了しますが大きい系では「cannot allocate ...」などのエラーとともに異常終了します。どんな対処法がありますか?

13.13.19. Q. Quantum ESPRESSOでProjected DOS(PDOS)に出現するTotal DOSとDensity of States(DOS)に出現するDOSの値が異なるのはなぜですか?

A. Quantum ESPRESSOでPDOSは平面波基底で得られた電子状態を原子基底に射影された上で計算されるのですが、この射影が完全ではないことが両者の違いの原因となります。Quantum ESPRESSOに限らず平面波基底のDFTコード一般の性質となります。

13.13.20. Q. Quantum ESPRESSOでHubbard Uを設定して構造最適化すると「NR-step length unreasonably short」というエラーメッセージとともに異常終了します。どのような対処法がありますか?

A. Quantum ESPRESSOのバージョンが5系列の場合はHubbard Uのforce計算が実装されておらずこのエラーが発生します。そのためQuantum ESPRESSOのバージョンを6以降にすると解決します。

13.13.21. Q. Quantum ESPRESSO 6.6以前と以降でSCF計算の収束に掛かるサイクル数が大きく変化しますがなぜですか?

A. Quantum ESPRESSO 6.6以降でdiago_david_ndimのデフォルト値が4から2に変更されたことが一つの理由です。QE6.6以降でもdiago_david_ndimを明示的に4に設定するとそれ以前と似たような挙動になります。

13.13.22. Q. Quantum ESPRESSOでハイブリッド汎関数(HSEなど)を使うとバンド構造が崩れます。対処方法はありますか?

A. 残念ながらQuantum ESPRESSO本体の機能としてバージョン7.1現在ではハイブリッド汎関数(混成汎関数)でのバンド構造計算がサポートされていません。外部モジュール(Wannier90など)を用いたポスト処理により計算することが可能ですが、Winmostar (V11.6.4現在)ではそのようなポスト処理はサポートされていませんので、ユーザ様ご自身でWinmostarの出力結果に対してポスト処理を実施して頂く形となります。

13.13.23. Q. 系のモデリング中や、計算結果を読み込んだ際に、不要な結合が表示されます。または結合が表示されません。どのように対処したらいいですか?

A. こちらのFAQ を参照してください。

13.13.24. Q. OpenMXでMPIを有効にしてローカルマシンで計算を実行すると、 tcp_peer_send_blocking: send() to socket 12 failed: Transport endpoint is not connected というエラーが表示されます。

A. CygwinのOpenMPI特有の問題で、Windowsの[設定]-[ネットワークとインターネット]-[アダプターのオプションを変更する]において使用していないネットワークアダプタを無効にしてください。また、OpenMXはローカルマシンにおいてはOpenMPで計算することを推奨します。

13.14. アドオンに関して

13.14.1. Q. 溶解度パラメータ計算モジュールを用いてポリマーのハンセン溶解度パラメータを計算する際に、ポリマーの繰り返し構造(モノマー)の取り方の違いで出力される値が変化してしまう。

A. 実装されている原子団寄与法のアルゴリズムのために発生しています。原子団を探索する際には、一番大きな原子団から探索されるようになっています。重要そうな官能基は繰り返し単位の中に入れておくことをお勧めします。

13.14.2. Q. 溶解度パラメータ計算モジュールを用いて取得したハンセン溶解度パラメータの値が、文献値と大きく異なります。

A. 溶解度パラメータ計算モジュールは、各種の文献値を学習データとしてニューラルネットワークで学習された原子団寄与法を用いてハンセン溶解度パラメータを出力しています。そのため、文献値と全く同じ値を返すわけではありません。また、文献によっては溶解度パラメータの単位が異なりますので、その点にご注意ください。