6.5. QM ‣ MOPAC メニュー

MOPACに関するメニューです。

MOPAC6とMOPAC7はWinmostarに同梱されています。 それ以外のMOPACを利用する場合は、別途MOPAC本体を入手し、環境設定ウィンドウにてパスを設定してください。

6.5.1. ワークフロー設定

プロジェクトモードにおけるMOPACの計算フローを設定、実行します。 プロジェクトモードのローカルジョブでは ツール ‣ 環境設定 ‣ プログラムパスMOPAC(1) に指定したバイナリが利用されます。

Preset

設定のプリセットを呼び出し、保存します。

# of Jobs

ジョブの数を指定します。

Enable parameter/structure scan

この機能を使うためにはアドオンの購入が必要です。特定のパラメータだけが異なる複数の計算を流したり(パラメータスキャン)、複数の構造に対し同一のパラメータで計算を流す(構造スキャン)ことが可能となります。

Config をクリックするとスキャン計算の設定画面が出現します。パラメータスキャンの際は Target Variable に%WM_SCAN1%を選択し、 Values の各行に%WM_SCAN1%に設定したいパラメータを入力します。そして、ワークフロー設定ウィンドウまたはキーワード設定ウィンドウにおいて設定したいパラメータに%WM_SCAN1%と入力します。構造スキャンの際は、分子表示エリアでアニメーションが出現した状態(SDFファイルを開くなど)で、 Target Variable に%WM_STRUCT%を選択します。

スキャン計算の終了後は ファイル ‣ プロジェクト ‣ スキャン結果表示 を利用して計算結果を集計します。

Import

Exportで出力した設定を読み込みます。ボタン右の矢印をクリックすると、過去同じプロジェクトまたはWinmostar上で使用した設定を呼び出すことができます。

Export

設定をファイルに出力します。

OK

設定した内容で計算を実行またはファイルを生成します。詳しくは プロジェクトモードの場合 を参照してください。

Details

計算条件を詳細に設定します。 キーワード設定 が立ち上がります。

Task

計算の種類を指定します。


設定内容
Energy
Method=1SCF
Optimize
Method=EF
IR
Method=FORCE
Optimize(TS)
Method=TS
IRC(Forward)
Method=IRC=1
LARGE=50
IRC(Reverse)
Method=IRC=-1
LARGE=50
Scan
Method=EF
指定したScan内容を入力の最終行に追加
Method

計算手法(Hamiltonian)を指定します。

UHF

閉殻系か開殻系での計算を指定します。

Charge

電荷を指定します。

Multiplicity

スピン多重度を指定します。

6.5.2. キーワード設定

MOPACの計算条件を設定します。設定後、すぐに計算を実行する場合は Run ボタン、一旦メインウィンドウに戻る場合は OK ボタンを押してください。

Run をクリックしたときの挙動は (1) MOP6W70実行, (2) MOP7W70実行, (3) MOPACX実行 を参照してください。

Reset ボタンでデフォルトの状態に戻ります。 Save as Default ボタンで現在の状態をデフォルトの状態として保存します。 Save as Default ‣ Clear Default Settings で保存されてデフォルトの状態を出荷時の状態に戻します。

Easy Setup

簡易設定画面を表示します。

Hamiltonian

使用するハミルトニアンを指定します。MOPACの各パージョンがサポートするハミルトニアンは以下の通りです。

ハミルトニアン

実装されているMOPACのバージョン

AM1

MOPAC 6, MOPAC 7, MOPAC 93, MOPAC 97, MOPAC 2000, MOPAC 2002, MOPAC 2006, MOPAC 2009, MOPAC 2012, MOPAC2016

PM3

MOPAC 6, MOPAC 7, MOPAC 93, MOPAC 97, MOPAC 2000, MOPAC 2002, MOPAC 2006, MOPAC 2009, MOPAC 2012, MOPAC2016

RM1

MOPAC 2007, MOPAC2016

AM1 EXTERNAL=RM1.rm1

MOPAC 7.1, MOPAC 93, MOPAC 97, MOPAC 2000, MOPAC 2002, MOPAC 2006, MOPAC 2009, MOPAC 2012

PM6

MOPAC 2007, MOPAC 2009, MOPAC 2012, MOPAC2016

PM7

MOPAC 2012, MOPAC2016

MINDO/3

MOPAC 6, MOPAC 7, MOPAC 93, MOPAC 97, MOPAC 2000, MOPAC 2002, MOPAC 2006

MNDO

MOPAC 6, MOPAC 7, MOPAC 93, MOPAC 97, MOPAC 2000, MOPAC 2002, MOPAC 2006, MOPAC 2009, MOPAC 2012, MOPAC2016

MNDO-d

MOPAC 97, MOPAC 2000, MOPAC 2002, MOPAC 2006, MOPAC 2009, MOPAC 2012, MOPAC2016

Method

計算方法を指定します。

EF

EF (Eigen Vector Following)法による構造最適化計算を行います。

TS

遷移状態を求めます。

FORCE

振動解析を行います。

1SCF

1回だけSCF計算を行います。(構造最適化を行いません。)

IRC

固有反応座標計算を行います。エネルギーは保存されません。

IRC=1

1番目の基準振動の逆方向を指定して固有反応座標計算を行います。

IRC=-1

1番目の基準振動の正方向を指定して固有反応座標計算を行います。

Charge

電荷の値を指定します。

Multiplicity

多重度を指定します。

OPEN

開殻計算における電子数と軌道数を指定します。

MM
MMOK

CONH結合に分子力学補正を加えます。

NOMM

CONH結合に分子力学補正を加えません。

GNORM

エネルギー勾配ノルムの閾値を指定します。

LARGE

指定したサイクルごとに情報を出力します。

GRAPH

分子軌道をグラフィックス表示するためのファイルを作成します。(GPAGH/GRAPHF)

EXTERNAL

ディスク上のパラメータ・ファイルを読み込みます。

STEP

反応座標計算におけるきざみ幅を指定します。

POINT

反応座標計算における計算点数を指定します。

STEP1/2

グリッド計算におけるきざみ幅を指定します。

POINT1/2

グリッド計算における計算点数を指定します。

AUX

他のプログラムで利用するためのAUXファイルを作成します。

BONDS

最終の結合次数行列を出力します。

ENPART

エネルギーを1中心および2中心項に分解するエネルギー分割を指定します。

ESP

静電ポテンシャルを計算します。

EXCITED

一重項第一励起状態を最適化します。

GEO-OK

原子が異常に近接している場合のチェックを無視します。

NOINTER

原子間距離を出力しません。

OLDFPC

古いバージョンのMOPACと同じ基準物理量の値を用います。

POLAR

分極率を計算します。

PRECISE

収束判定条件を 100 倍厳しくします。

SYMMETRY

対称性や等価条件を利用して構造を定義します。

UHF

非制限Hartree-Fock計算を実行します。

VECTORS

最終固有ベクトル(波動関数)を出力します。

XYZ

XYZ座標系を用いて計算を行います。

Others

その他のキーワードを記入します。

Coordinate format

原子座標の形式(XYZもしくはZ-matrix)を指定します。

Reset

設定をリセットします。

Import

設定ファイルを読み込みます。

Export

設定ファイルを出力します。

6.5.3. キーワード読み込み

既存のMOPACの入力ファイルから、キーワード(計算条件)のみを読み込みます。

6.5.4. (1) MOP6W70実行, (2) MOP7W70実行, (3) MOPACX実行

メインウィンドウでMOPACの入力ファイルが開かれている場合は、そのファイルを使ってMOPACを実行します。 開かれていない場合は、MOPACの入力ファイルを保存した上でMOPACを実行します。

入力ファイルを保存する際に、 座標表示形式を切り替え の選択肢( Z-Matrix または XYZ )および 座標表示エリアZ-Matrix / XYZ タブの選択に応じて座標の出力フォーマットが変化します。

(1) MOP6W70実行 , (2) MOP7W70実行, (3) MOPACX実行 には、それぞれバージョンの異なるMOPACを設定して、両者を場面に応じて使い分けながら使用することを想定しています。 (1) MOP6W70実行 , (2) MOP7W70実行, (3) MOPACX実行 の違いは、起動するMOPACのプログラムパスです。 各メニューで使うプログラムパスは、 ツール ‣ 環境設定 ‣ プログラムパス で変更することができます。 デフォルトで設定されている MOP6W70 はMOPAC6、 MOP7W70 はMOPAC7で、どちらもWinmostarに内蔵されているものです。 (3) MOPACX実行 にはMOPAC2012などのプログラムを別途入手し指定して使うことを想定しています。

実行に伴い以下のファイルが生成されます。 例として入力ファイルが water.dat の時のファイル/フォルダ名を併記しています。

種類

説明

outファイル
water.out

計算結果の概略をまとめたファイルです。

arcファイル
water.arc

計算結果の詳細をまとめたファイルです。

mgfファイル
water.mgf
キーワードGRAPHを指定したことで出力されるファイルで、分子軌道の描画に使われる情報を含みます。
作業フォルダ
water_mop_tmp\
作業フォルダです。

6.5.5. ログを表示 (out)

outファイルをテキストエディタで開きます。

6.5.6. ログを表示 (arc)

arcファイルをテキストエディタで開きます。

6.5.7. アニメーション

6.5.7.1. 構造最適化 (arc)

arcファイルを選択し、分子構造のアニメーションを表示します。

アニメーション表示の操作方法は アニメーション操作エリア を参照してください。

6.5.7.2. IRC, STEP (out)

outファイルを選択し、IRC計算のアニメーションを表示します。

アニメーション表示の操作方法は アニメーション操作エリア を参照してください。

6.5.8. 結果解析

6.5.8.1. 分子軌道, 電荷 (mgf)

mgfファイルを選択し、分子軌道を表示します。

キーワードGRAPHF が設定されている必要があります。 サブウィンドウの操作方法は Energy Level Diagramウィンドウ , Surface Setup・Cubegenウィンドウ を参照してください。

表示 ‣ ラベル/電荷 ‣ Mulliken電荷 を選択すると電荷が表示されます。

6.5.8.2. IRスペクトル (out)

outファイルを選択し、IRスペクトルを表示します。

キーワード で振動計算が設定されている必要があります。 サブウィンドウの操作方法は IR Spectrumウィンドウ を参照してください。

6.5.9. ジョブマネージャで実行

チェックが入っている場合は、MOPACを実行する際に Winmostar Job Manager を使用します。 入っていない場合は、MOPACでの計算が終わるまでWinmostarは待ち状態となり、MOPACの出力結果は自動でメインウィンドウに読み込まれます。

ツール ‣ 環境設定 メニュー からも設定することができます。