6.8. QM ‣ Gaussian メニュー

Gaussianに関するメニューです。

Gaussianを利用するためには別途Gaussianをインストールする必要があります。

6.8.1. ワークフロー設定

プロジェクトモードにおけるGaussianの計算フローを設定、実行します。 プロジェクトモードのローカルジョブでは ツール ‣ 環境設定 ‣ プログラムパスGaussian に指定したバイナリが利用されます。

Preset

設定のプリセットを呼び出し、保存します。

# of Jobs

ジョブの数を指定します。

Enable parameter/structure scan

この機能を使うためにはアドオンの購入が必要です。特定のパラメータだけが異なる複数の計算を流したり(パラメータスキャン)、複数の構造に対し同一のパラメータで計算を流す(構造スキャン)ことが可能となります。

Config をクリックするとスキャン計算の設定画面が出現します。パラメータスキャンの際は Target Variable に%WM_SCAN1%を選択し、 Values の各行に%WM_SCAN1%に設定したいパラメータを入力します。そして、ワークフロー設定ウィンドウまたはキーワード設定ウィンドウにおいて設定したいパラメータに%WM_SCAN1%と入力します。構造スキャンの際は、分子表示エリアでアニメーションが出現した状態(SDFファイルを開くなど)で、 Target Variable に%WM_STRUCT%を選択します。

スキャン計算の終了後は ファイル ‣ プロジェクト ‣ スキャン結果表示 を利用して計算結果を集計します。

Import

Exportで出力した設定を読み込みます。ボタン右の矢印をクリックすると、過去同じプロジェクトまたはWinmostar上で使用した設定を呼び出すことができます。

Export

設定をファイルに出力します。

OK

設定した内容で計算を実行またはファイルを生成します。詳しくは プロジェクトモードの場合 を参照してください。

Details

計算条件を詳細に設定します。 キーワード設定 が立ち上がります。

Task

計算の種類を指定します。


設定内容
Energy

Optimize
opt
IR
freq=noraman
IR+Raman
freq=raman
TDDFT
td=(nstates=10)
NMR
nmr
Optimize(TS)
opt=(ts,noeigentest,calcfc)
Optimize(TDDFT)
opt
td
IRC(Forward)
irc=(forward,maxpoint=20,stepsize=5,calcfc)
Pop指定なし
IRC(Reverse)
irc=(reverse,maxpoint=20,stepsize=5,calcfc)
Pop指定なし
Optimize+IR
opt
freq=noraman
Optimize+IR+Raman
opt
freq=raman
Optimize(TS)+IR
opt=(ts,noeigentest,calcfc)
freq=noraman
RESP
Pop=mk
scf=tight
iop(6/41=10,6/42=17,6/50=1)
%WM_PREFIX%.espを入力の最終行に追加
Scan
opt=modredundant
nosymm
Pop指定なし
指定したScan内容を入力の最終行に追加
Method

計算手法(Hamiltonian)を指定します。


設定内容
HF
HF
各種DFT
汎関数名
(DFT-D3の場合) Empirical Dispersion=gd3
MP2
MP2
Basis set

基底関数を指定します。

Charge

電荷を指定します。

Multiplicity

スピン多重度を指定します。

Solvent

溶媒種及び溶媒計算方法を指定します。

6.8.2. キーワード設定

Gaussianの計算条件を設定します。設定後、すぐに計算を実行する場合は Run ボタン、一旦メインウィンドウに戻る場合は OK ボタンを押してください。

Run をクリックしたときの挙動は 実行 を参照してください。

Reset ボタンでデフォルトの状態に戻ります。 Save as Default ボタンで現在の状態をデフォルトの状態として保存します。 Save as Default ‣ Clear Default Settings で保存されてデフォルトの状態を出荷時の状態に戻します。

Easy Setup

簡易設定画面を表示します。

%nprocshared

並列数(使用CPUコア数)を指定します。

Link0
%Chk=file

チェックポイントファイルを指定します。

%Mem=n

動的メモリ量を8バイトワード単位で指定します。KB, MB, GB, KW, MB, GW, TWの単位を指定することもできます。(デフォルト:800MB)

Comment

コメントを記述します。

#

ルートセクションの始まりを指定します。

#N

標準レベルで出力を行います。(デフォルト)

#P

詳細な出力を行います。各リンクの開始時と終了時における実行時間などや,SCFの収束に関する情報が出力されます。

#T

重要な情報と結果のみを出力する簡潔な出力を指定します。

Charge

電荷の値を指定します。

Multiplicity

スピン多重度を指定します。

Additional Chg./Multi.

追加の電荷とスピン多重度を指定します。

Hamiltonian

使用するハミルトニアンを指定します。

hf

Hartree-Fock計算を行います。明示的に指定されない限り,一重項にはRHFを,それより高次の多重度ではUHFを用います。

rhf

Restricted Hartree-Fock計算を行います。

uhf

Unrestricted Hartree-Fock計算を行います。

am1

AM1ハミルトニアン を用いた半経験的計算を行います。

pm3

PM3ハミルトニアン を用いた半経験的計算を行います。

pm3mm

HCON結合に関する分子力学補正が含まれたPM3ハミルトニアン を用いた半経験的計算を行います。

b3lyp

Becke3汎関数にLYP非局所相関汎関数を組み合わせた密度汎関数法計算を行います。

ub3lyp

b3lypのUnrestricted版です。

mp2

Hartree-Fock計算の後に2次までのMoller-Plesset相関エネルギー補正を行います。

ump2

mp2のUnrestricted版です。

mp4

Hartree-Fock計算の後に4次までのMoller-Plesset相関エネルギー補正を行います。

ump4

mp4のUnrestricted版です。

cis

一電子励起CIを用いて励起状態を計算します。

cisd

二電子励起CIを用いて励起状態を計算します。(CIと同義)

indo

INDOハミルトニアンを用いた半経験的計算を行います。

cndo

CNDOハミルトニアンを用いた半経験的計算を行います。

gvb

GVB(General Valence Bond; 一般化原子価結合)計算を行います。

Basis

基底関数セットを指定します。

Pop

分子軌道の出力や電子密度解析及び原子の電荷分布などを制御します。

none

分子軌道を出力せず,電子密度解析も行いません。

minimal

原子の電荷と軌道エネルギーを出力します。

regular

占有軌道と仮想軌道を5つずつ出力します。密度行列とMulliken電子密度解析も出力します。

full

すべての占有軌道と仮想軌道を出力します。密度行列とMulliken電子密度解析も出力します。

mk

Merz-Singh-Kollmanスキームで静電ポテンシャルにフィットした電荷を出力します。

chelp

CHelpスキームで静電ポテンシャルにフィットした電荷を出力します。

chelpg

CHelpGスキームで静電ポテンシャルにフィットした電荷を出力します。

(full,chelp)

CHelpスキームで静電ポテンシャルにフィットした電荷、すべての占有軌道と仮想軌道を出力します。密度行列とMulliken電子密度解析も出力します。

(fullchelpg)

CHelpGスキームで静電ポテンシャルにフィットした電荷、すべての占有軌道と仮想軌道を出力します。密度行列とMulliken電子密度解析も出力します。

(full,npa)

Natural Population AnalysisによるNBO(Natural Bond Orbital)電荷、すべての占有軌道と仮想軌道を出力します。密度行列とMulliken電子密度解析も出力します。

OPT/IRC

構造最適化もしくはIRC計算の制御を行います。

opt

構造最適化を実行します。

opt=z-matrix

内部座標で構造最適化を行います。

opt=modredundant

redundant内部座標の定義(探索や束縛情報を含む)を追加・削除・修正します。構造指定の後に入力セクションが必要です。

opt=(ts,noeigentest,calcfc)

遷移状態に対する最適化を行います。曲率のテストを行いません。初回に力の定数を計算します。

opt=tight

力と座標変化の収束判定の閾値を厳しくします。

irc=(forward, maxpoint=20, stepsize=5, calcfc)

正方向の反応経路を追跡します。経路上の点の個数とステップサイズを指定します。初回に力の定数を計算します。

irc=(reverse, maxpoint=20, stepsize=5, calcfc)

逆方向の反応経路を追跡します。経路上の点の個数とステップサイズを指定します。初回に力の定数を計算します。

OptMaxCyc

構造最適化ステップの最大数を設定します。

Scrf

溶媒効果を含めた計算を行います。

SCF

SCF計算の制御をします。

scf=tight

通常のSCF計算の収束判定です。(デフォルト)

scf=qc

2次収束法を使用します。

scf=xqc

1次収束法で収束しない場合、2次収束法に途中で切り替えます。

scf=vshift[=N]

軌道エネルギーをN*0.001 Hartreeシフトします。Nのデフォルト値は100です。

Freq

力の定数と振動数の計算を制御します。

freq

力の定数と振動数の計算を行います。

freq=raman

IR強度に加えてラマン強度も計算します。

freq=vcd

通常の振動数解析に加えて振動円二色性(VCD)強度を計算します

freq=noraman

IR強度のみ計算しラマン強度を求めません。

freq=nraman

電場に関する解析的双極子導関数を数値的に微分することによって分極率導関数を求めます。

freq=nnraman

核座標に関する解析的分極率を数値微分して分極率導関数を求めます。

NMR

NMR計算の制御をします。

nmr

NMR計算を行います。

nmr=giao

GIAO法を使用してNMR計算を行います。(デフォルト)

nmr=csgt

CSGT法を使用してNMR計算を行います。

nmr=igaim

ゲージオリジンとして原子中心座標を使用してNMR計算を行います。

TD
td

時間依存(time-dependent)Hartree-FockまたはDFT法を用いて励起状態のエネルギー計算を行います。(デフォルト 1重項)

td=(nstates=n)

n個の状態に対して時間依存計算法を用いて励起状態のエネルギーを求めます。(デフォルト 3)

td=50-50

半分は1重項、残り半分は3重項の状態を計算します。閉殻系のみ有効です。

td=triplets

3重項状態の計算を行います。閉殻系のみ有効です。

EmpiricalDispersion

経験的分散力を有効化します。

pfd

Petersson-Frisch分散力を追加します。

gd2

Grimme分散力のD2バージョンを追加します。

gd3

Grimme分散力のD3バージョンを追加します。

gd3bj

Becke-Johnson減衰を加えたGrimme分散力のD3バージョンを追加します。

Config ONIOM

ONIOM計算の設定をします。事前に ONIOMレイヤーを割り当て で各原子をレイヤーに割り当てている必要があります。

Hamiltonian

各レイヤーのハミルトニアンを設定します。

Basis

各レイヤーの基底関数を設定します。

gfinput

基底関数系を入力フォーマットと同様な形式で出力します。

gfprint

基底関数系を表形式で出力します。

nosymm

座標の再配向を行わず,入力の配向で計算を実行します。

guess=read

チェックポイントファイルから初期波動関数を読み込みます

geom=check

分子指定セクションをチェックポイントファイルから取り出します。

fchk

Test.FChkファイルを作成します。

Subsection

その他のキーワードを記入します。

Coordinate format

原子座標の形式(CartesianもしくはZ-matrix)を指定します。

Reset

設定をリセットします。

Import

設定ファイルを読み込みます。

Export

設定ファイルを出力します。

6.8.3. キーワード読み込み

既存のGaussianの入力ファイルから、キーワード(計算条件)のみを読み込みます。

6.8.4. 実行

メインウィンドウでGaussianの入力ファイルが開かれている場合は、そのファイルを使ってGaussianを実行します。 開かれていない場合は、Gaussianの入力ファイルを保存した上でGaussianを実行します。

Gaussianのプログラムパスは、 ツール ‣ 環境設定 ‣ プログラムパス で変更することができます。

実行に伴い以下のファイルが生成されます。 例として入力ファイルが water.gjf の時のファイル/フォルダ名を併記しています。

種類

説明

logファイル
water.log

計算のログファイルです。

batファイル
water.gjf.bat

Gaussianを実行するためのバッチファイルです。

作業フォルダ
water_gau_tmp\
作業フォルダです。

ジョブは Winmostar Job Manager を通じて実行されます。

6.8.5. ログを表示 (log/out)

logファイルをテキストエディタで開きます。

6.8.6. アニメーション

6.8.6.1. 構造最適化

logファイルの情報から構造最適化計算のアニメーションを作成し表示します。

アニメーション表示の操作方法は アニメーション操作エリア を参照してください。

6.8.6.2. IRC/modred

logファイルの情報からIRC計算のアニメーションを作成し表示します。

アニメーション表示の操作方法は アニメーション操作エリア を参照してください。

6.8.7. 結果解析

6.8.7.1. 分子軌道, 電荷

logファイルの情報から分子軌道, 電荷の情報を取得し表示します。

読み込まれた電荷の情報は 表示 ‣ ラベル/電荷 ‣ Mulliken電荷 などを選択することで分子表示エリアに表示することができます。

サブウィンドウの操作方法は Energy Level Diagramウィンドウ , Surface Setup・Cubegenウィンドウ を参照してください。

6.8.7.2. UV-Visスペクトル

logファイルの情報からUV-Visスペクトルを表示します。

サブウィンドウの操作方法は UV-Vis Spectrumウィンドウ を参照してください。

6.8.7.3. NMRスペクトル

logファイルの情報からNMRスペクトルを表示します。

サブウィンドウの操作方法は NMRウィンドウ を参照してください。

6.8.7.4. IR/ラマンスペクトル

logファイルの情報から振動スペクトル(IRまたはラマンスペクトル)を表示します。

サブウィンドウの操作方法は IR Spectrumウィンドウ を参照してください。

6.8.7.5. RESP電荷

RESP法に基づく点電荷をespファイルから算出します。

読み込ませるespファイルは、 キーワード設定 ‣ Easy Setup において RESP/ESP の設定を選んで実行した計算から出力されている必要があります。 スピン多重度は1という前提で処理されます。 内部では、Antechamberを用いてRESP電荷を算出しています。

本機能を利用する際は、G09.C.01以降のバージョンを利用する必要があります。G09.C.01よりも前のバージョンを使う場合は、IOPの変更が必要です。

警告

本機能を利用するためには CygwinWMのセットアップ が必要です。

6.8.8. ONIOMレイヤーを割り当て

ONIOM法計算のレイヤーを設定します。

Show Layer Flags

各原子に割り当てられたレイヤーのフラグを表示します。

Unset Layers for All Atoms

全原子のレイヤーのフラグを削除します。

Select Atoms in High/Middle/Low Layer

High/Middle/Low Layerに設定された原子をグループ選択します。High/Middle/Low Layerに設定されている原子の確認に使います。

Set Selected Group to High/Middle/Low Layer

選択グループの原子をHigh/Middle/Low Layerに設定します。

Select All

全原子をグループ選択します。

Select None

グループ選択を解除します。

6.8.9. FormChk

G16W,G09W,G03WユーティリティのFormchkを起動し、.chkファイルから書式付の.fchファイルを作成し、表示します。

6.8.10. Fchkファイル読み込み (Cubegen)

G16G,G09W,G03WユーティリティのCubegenを起動し、.fchファイルを読込んでCubeファイルを作成します。 Cubegenがない場合は、Winmostar内臓のOpenCubegenを使います。

サブウィンドウの操作方法は Surface Setup・Cubegenウィンドウ と以下を参考にしてください。

Property
MO

分子軌道

Density

電子密度

ESP

ESP

Spin

スピン密度(α - β)

Alpha

αスピン密度

Beta

βスピン密度

Current Density

Current Density

Shielding Density

Shielding Density

Type

Density キーワードのオプションを指定します。(HF, MP2, CI, QCI)

Cube

Cubeファイルを出力します。

なお、OpenCubegenはおおむね2GB程度のfchkファイルまで対応しています。 上限サイズは、分子サイズ、基底関数に依存します。 将来的にはfchkファイルサイズの制限を解消する予定です。

6.8.11. Cubeファイル読み込み

Cube形式ファイルを読込んで表示します。

GAMESSのpunファイルの場合は、Cubeファイルに変換します。

サブウィンドウの操作方法は Surface Setup・Cubegenウィンドウ と以下を参考にしてください。

cube Manipulation

File 1File 2 に指定したcubeファイルに対して操作を実行します。

map

上の欄のデータに下の欄のデータをマッピングします。(例 DensityにESPをマッピングする)

subtract

2つのcubeファイルのデータの差を対象とします。

sub 2

2つのcubeファイルのデータの自乗の差を対象とします。

add

2つのcubeファイルの和を対象とします。

Cube

Mapで対象としたcubeファイルの演算結果を出力し表示の対象とします。

Cubegen

Cubegenを起動し、fchファイルを読込んでCubeファイルを作成します。詳細は Fchkファイル読み込み (Cubegen) を参照してください。