6.19. メニュー
VASPに関するメニューです。
6.19.1. ワークフロー設定
プロジェクトモードにおけるVaspの計算フローを設定、実行します。
- Preset
設定のプリセットを呼び出し、保存します。
- # of Jobs
ジョブの数を指定します。
- Enable parameter/structure scan
この機能を使うためにはアドオンの購入が必要です。特定のパラメータだけが異なる複数の計算を流したり(パラメータスキャン)、複数の構造に対し同一のパラメータで計算を流す(構造スキャン)ことが可能となります。
Config をクリックするとスキャン計算の設定画面が出現します。パラメータスキャンの際は Target Variable に%WM_SCAN1%を選択し、 Values の各行に%WM_SCAN1%に設定したいパラメータを入力します。そして、ワークフロー設定ウィンドウまたはキーワード設定ウィンドウにおいて設定したいパラメータに%WM_SCAN1%と入力します。構造スキャンの際は、分子表示エリアでアニメーションが出現した状態(SDFファイルを開くなど)で、 Target Variable に%WM_STRUCT%を選択します。
スキャン計算の終了後は
を利用して計算結果を集計します。- Import
Exportで出力した設定を読み込みます。ボタン右の矢印をクリックすると、過去同じプロジェクトまたはWinmostar上で使用した設定を呼び出すことができます。
- Export
設定をファイルに出力します。
- OK
設定した内容で計算を実行またはファイルを生成します。詳しくは プロジェクトモードの場合 を参照してください。
- Details
計算条件を詳細に設定します。 キーワード設定 が立ち上がります。
- Task
計算の種類を指定します。
設定内容 Energy IBRION=-1ISIF=0NSW=0 Optimize(Atom) IBRION=1ISIF=0NSW=50 Optimize(Atom&Cell) IBRION=1ISIF=3NSW=50 BOMD IBRION=0ISIF=0NSW=50- Functional
使用する擬ポテンシャルおよび汎関数を選択します。
- Cutoff energy
カットオフエネルギーを明示的に設定する場合にその値を指定します。
- Manually specify cutoff energy
カットオフエネルギーを明示的に設定します。
- Precision
計算精度を設定します。
設定内容 Medium PREC=Normal High PREC=Accurate
6.19.2. キーワード設定
VASPの計算条件を設定します。設定後、すぐに計算を実行する場合は Run ボタン、一旦メインウィンドウに戻る場合は OK ボタンを押してください。
Run をクリックしたときの挙動は 実行 を参照してください。
Reset ボタンでデフォルトの状態に戻ります。 OK ボタンで設定内容を反映してメイン画面に戻ります。 Cancel ボタンで何もせずにWindowを閉じます。
本機能を呼び出すときに、メインウィンドウに表示された構造がプリミティブセルに変化できる場合は、自動で 格子を変換 が実行されます。
- Basicタブ
- VASP Executable
計算に使用するVASPの実行バイナリ名を指定します。
- PREC
計算精度を一括設定します。
- NBANDS
計算に使用するKS軌道の数を指定します。
- K-point
「by KSPACING and KGAMMA」の場合はKSPACINGとKGAMMAキーワードでK点を設定します。「by KPOINTS file」の場合はKPOINTS fileを用いてK点を設定します。
- KSPACING
K点の密度を指定します。
- KGAMMA
K点がΓ点を含むか指定します。
- KPOINTS file
KPOINTSファイルに記載する内容を入力します。
- ISYM
対称性の取り扱いを指定します。
- ENCUT
波動関数のカットオフエネルギーを指定します。
- NELECT
電子数を指定します。
- ISMEAR
スメアリングの方法を指定します。
- IBRION
計算のモードを指定します。(SCF計算、MD計算、構造最適化計算など)
- ISIF
力・圧力計算の有無、原子位置、セルの更新有無について指定します。
- Advancedタブ
- EDIFF
SCF計算の打切り誤差を指定します。
- EDIFFG
構造最適化計算の打切り誤差を指定します。
- NELM
SCF計算の最大反復回数を指定します。
- NELMIN
SCF計算の最小反復回数を指定します。
- NSW
構造最適化計算の最大反復回数を指定します。
- TIME
一部のアルゴリズムにおける時間刻みを指定します。
- ALGO
SCF計算のアルゴリズムを指定します。
- NSIM
RMM-DIIS法利用時に同時に最適化されるバンド数を指定します。
- INIWAV
ISTART=0の時の軌道の初期値の発生方法を指定します。
- SIGMA
スメアリング幅を指定します。
- IVDW
分散力補正の方法を指定します。
- GGA
LDAまたはGGA汎関数を指定します。
- LHFCALC
厳密交換項の計算有無を指定します。
- HFSCREEN
厳密交換項のrange-separation parameterを指定します。
- PRECFOCK
厳密交換項の計算で使うFFTグリッドを指定します。
- VOSKOWN
Vosko-Wilk-Nusair interpolationを使用するか否か指定します。
- ADDGRID
Augmentation Chargeのための追加グリッドを使用するか指定します。
- LASPH
PAW球内の電子密度勾配に関係する非球状成分を含めるか指定します。
- LREAL
射影演算子を実空間または逆空間で評価するか指定します。
- Spinタブ
- ISPIN
スピン分極計算について指定します。
- MAGMOM
各原子の初期スピンを指定します。
- Outputタブ
- NWRITE
OUTCARファイルへ出力する情報量を調整します。
- LWAVE
計算の最後にWAVECARファイルに波動関数の情報を出力するか指定します。
- LCHARG
計算の最後にCHGCARファイルに電荷密度の情報を出力するか指定します。
- LPARD
バンドまたはk点で分解した部分電荷密度を評価するか指定します。
- IBAND
部分電荷の評価に使用するバンドを指定します。
- EINT
部分電荷の評価時のエネルギー間隔を指定します。
- LORBIT
射影の方法とPROCARまたはPROOUTファイルに出力するか指定します。
- LORBMOM
軌道モーメントを出力するか出力するか指定します。
- LVTOT
全ポテンシャルをLOCPOTファイルに出力するか指定します。
- LVHAR
Vionic(r)+VhartreeをLOCPOTファイルに出力するか指定します。
- LELF
ELFCARファイルを出力するか指定します。
- EMIN
出力するDOSのエネルギー範囲の下限を指定します。
- EMAX
出力するDOSのエネルギー範囲の上限を指定します。
- NEDOS
DOSを評価する際のグリッド数を指定します。
- LEPSILON
DFPT計算から誘電マトリックス、圧電テンソル、ボルン有効電荷を計算するか指定します。
- MDタブ
- MDALGO
MD計算の時間発展アルゴリズムを指定します。
- POTIM
MD計算の時間刻みまたは構造最適化計算の更新ステップ幅を指定します。
- TEBEG
初期設定温度を指定します。
- TEEND
最終設定温度を指定します。
- SMASS
温度制御の方法または熱浴の質量パラメータを指定します。
- LANGEVIN_GAMMA
Lengivein熱浴の摩擦パラメータを指定します。
- LANGEVIN_GAMMA_L
Parrinello-Rahman圧力浴の摩擦パラメータを指定します。
- PMASS
Parrinello-Rahman圧力浴の質量パラメータを指定します。
- MLFFタブ
- ML_LMLFF
機械学習力場を利用するか指定します。
- ML_ISTART
機械学習力場の学習・推論の有無などを指定します。
- ML_LEATOM
機械学習力場からエネルギーを出力するか否かを指定します。
- ML_MB
機械学習力場における局所参照配置の最大数を指定します。
- ML_CTIFOR
機械学習力場で得られた力のベイズエラー推定における閾値を指定します。
- ML_IWEIGHT
機械学習力場を学習する際の力、エネルギー、圧力の重みづけの設定方法を指定します。
- ML_WTIFOR
機械学習力場を学習する際の力の重みづけを指定します。
- ML_WTSIF
機械学習力場を学習する際の圧力の重みづけを指定します。
- ML_WTOTEN
機械学習力場を学習する際のエネルギーの重みづけを指定します。
- Othersタブ
- Other settings for INCAR
INCARファイルに記載するその他のパラメータを入力します。
- Previewタブ
- INCAR
現在の設定で生成されるINCARファイルのプレビューです。
- Pseudopotentialタブ
- Pseudopotential
使用する擬ポテンシャルの種類を指定します。
- Optionsタブ
- Dump all files for remote
Linux環境でのジョブ実行に必要なファイルを出力します。リモートジョブ投入機能で生成されるファイルと同じファイルが出力されます。
- Restore Working Folder
継続ジョブが異常終了時など、作業フォルダを実行前の状態に戻す際にクリックします。
6.19.3. 実行
VASPを実行します。ローカルジョブには対応していないので、ファイルモードでは リモートジョブ投入 が立ち上がります。
実行に伴い以下のファイルが生成されます。 例として入力ファイルが
test.poscar
のときのファイル/フォルダ名を併記しています。
種類
説明
shファイルtest.sh
VASPを実行するためのシェルスクリプトファイルです。ジョブに依存する設定は含まれていません。
conf.shファイルtest_conf.sh
上記のVASPを実行するためのシェルスクリプトが読み込む設定ファイルです。ジョブに依存する設定がまとめられています。
outcarファイルtest.outcar
ログファイルです。作業フォルダ内のOUTCARのコピーです。
作業フォルダtest_vasp_data\
作業フォルダです。作業フォルダには以下のファイルが生成されます。 ここでは主要なファイルのみ示しています。
種類
説明
INCAR
計算条件を指定するファイルです。KPOINTS.ori
K点の設定ファイルです。OUTCAR
ログファイルです。ヒント
作業フォルダ
作業フォルダとは、メインウィンドウで開かれているファイルの名前に接尾辞を加えた名前のフォルダです。
接尾辞はソルバの種類により変わります。
例えばGromacsの場合は、メインウィンドウで開かれているファイルが
aaa.gro
で、接尾辞が_gmx_tmp
の場合、作業フォルダの名前はaaa_gmx_tmp
となります。メインウィンドウで開かれているファイルと同じ階層に置かれている必要があります。
継続ジョブの時も同名の作業フォルダで処理が流れますが、デフォルトでは継続ジョブの実施直前に、直前のジョブの作業フォルダのバックアップが作成されます。
バックアップの名前は、重複する名前が存在しない範囲で一番小さい番号が付いたものになります。例えば、作業フォルダが
aaa_gmx_tmp
のときはaaa_gmx_tmp1
となります。番号が付いていないディレクトリが常に最新のものとなります。
ジョブは Winmostar Job Manager を通じて実行されます。
6.19.4. ログを表示 (OUTCAR)
ログファイルをテキストエディタで開きます。
6.19.5. アニメーション(OSZICAR)
OSZICARファイルの情報から構造最適化、分子動力学計算等のアニメーションを作成し表示します。
アニメーション表示の操作方法は アニメーション操作エリア を参照してください。 アニメーション操作エリアから動径分布関数、自己拡散係数、平均二乗変位、各原子の変位などを計算できます。
6.19.6. エネルギー変化
6.19.6.1. SCFエネルギー変化(XDATCAR)
ログファイルを選択し、SCF計算中のエネルギー変化のグラフを表示します。
グラフ描画エリアの操作方法は グラフの操作方法 を参照してください。