6.15. 固体メニュー
第一原理(バンド)計算に関するメニューです。
固体メニューの機能を利用するにはSolidパックが必要です。
6.15.1. 結晶ビルダ
結晶構造を作成します。主に以下の目的で使用します。
空間群、格子定数、非対称要素を入力して結晶構造を作成します。
結晶ビルダ上でCIFファイルを開きa, b, c軸を交換します。
非整数のoccupancyを含むCIFファイルを開き、原子を割り当てる。
- Fileメニュー
- New
結晶構造を新規作成します。
- Open
CIFファイルを開きます。
- Save As
結晶ビルダに表示されている結晶構造をCIF形式またはXYZ形式で保存します。
- Save As P1 CIF
チェックした場合はCIF形式で保存する際にP1で保存します。
- Editメニュー
- Exchange Axis
軸(a, b, c)と非対称要素の座標(x, y, z)を交換します。詳しくはInternational Tables vol.Aをご覧ください。
- Discard symmetry
対称操作を破棄し、空間群はP1とします。この時、既存の対称操作によって再生された全ての対称要素は非対称要素として認識されます。
- Assign Atoms to Non-Integer Occupancy Sites
読み込んだCIFファイル内で定義された占有率の項目(_atom_site_occupancy)を元にして、各サイトに対してランダムな原子を発生させます。占有率に応じたスーパーセルを作成したい場合、リピート機能を用いて十分に大きなスーパーセルを作成してからこの機能を使用してください。
- Viewメニュー
- Show Multi-View
三面図による描画を行います。三面図では左上の画面のみが自由回転に対応しており、残りの三方向のカメラは結晶のa, b, c軸に固定されるため回転しません。
- Always View Center
チェックが付いている場合は、常に重心に注視点を合わせます
- Orbit/Roll
回転方法を指定します。
- Orbit
自由回転を行います。
- Roll around a-, b-, c-axis
a, b, c軸回りの回転を行います。
- Show Bond
結合を表示します。
- Show Element Name
元素記号を表示します。
- Show Atoms on Boundary in Duplicate
境界上の原子を表示します。
- Show Unit Cell
単位格子を表示します。
- Make Replicated Atoms Transparent
対称操作によって生じた原子を透明表示します。
- Lattice
- Crystal System
結晶系を選択します。
- Space Group
空間群を番号もしくはHermann–Mauguin記号から選択します。
- Lattice Constant
格子定数を設定します(選択した空間群によって入力できるフィールドが変わります)。
- Asymmetric unit
- Add atom
非対称要素となる原子を追加します。
- Delete atom
リスト上で選択した非対称要素となる原子を削除します。
- Element
元素記号を入力/修正します。
- X, Y, Z
原子サイトを分率座標(fractional coordinate)で設定します。
- OK
作成した結晶構造をメインウィンドウに読み込みます。
読み込みを取り消したい場合は、メインウィンドウで
をクリックしてください。- Cancel
結晶ビルダで入力した構造を破棄しメインウィンドウに戻ります。
6.15.2. スラブを作成
(バルクの)結晶のCIFファイルを読み込んだ状態で本機能を呼び出すと、スラブを作成することができます。内部的にはpymatgenを利用しています。
まず、 Generate Slab ボタンをクリックした後、 OK ボタンをクリックします。
- Miller indices
スラブ表面のミラー指数を入力します。
- Minimum slab size
表面垂直方向(c-axis)のセルサイズを入力します。
- Supercell
表面水平方向(aまたはb-axis)のスーパーセルの個数を入力します。
- Force c-axis to be perpendicular to a and b axes
c軸がaおよびb軸に垂直になるようにします。
- Convert hexagonal to orthorhombic
HexagonalをOrthorhombicに変換します。
- Generate Slabボタン
本ボタンより上の項目に基づき表面構造の候補を作成します。
- Surface configurations
表面構造を候補の中から選択します。
- Slab, Vacuum, Total width
表面垂直方向のサイズを入力します。 Vacuum あるいは Total width のどちらかを入力したら、他方が自動で決定されます。
- Position
表面垂直方向のスラブの位置を指定します。
- OKボタン
スラブモデルを作成しメインウィンドウに表示します。
警告
本機能を利用するためには CygwinWMのセットアップ が必要です。
6.15.3. スーパーセルを作成
メインウィンドウで表示されているセルを複製しスーパーセルを作成します。
a , b , c に繰り返し数を入力し、 OK ボタンをクリックします。
6.15.4. クラスタを作成
結晶構造からナノクラスターを切り出します。
元のユニットセルの原子は不透明、ユニットセル外の原子は半透明で表示されます。
- Viewメニュー
結晶ビルダ と同じです。
- Center
クラスタの中心点を分率座標で指定します。グラフィック画面上の原子を選択した状態で、Setをクリックすると選択した原子位置を中心点に指定できます。
- Cluster Radius
クラスターの半径をオングストローム単位で指定します。
- Hydrogen
クラスター表面に水素を修飾します。
- OK
処理を実行します。
6.15.5. 格子を変換
メインウィンドウで表示されているセルについて、プリミティブセル-コンベンショナルセル間の変換を行います。バックグラウンドでspglibを使用しています。
6.15.6. 格子を等価な直方体セルに変換
メインウィンドウで表示されているセルについて、等価な直方体セルに変換に変換します。六方晶を直方体セルに変換する際に便利です。バックグラウンドでatomskを利用しています。
警告
本機能を利用するためには CygwinWMのセットアップ が必要です。
6.15.7. 対称性を考慮して結晶構造を調整
メインウィンドウで表示されているセルについて、設定した許容誤差で対称性を検出した上で、その対称性に従うよう座標を微修正します。Quantum ESPRESSOなどで対称性由来の不具合が出る際にこの機能を利用すると不具合を回避できるようになる可能性があります。バックグラウンドでspglibを利用しています。
6.15.8. Quantum ESPRESSO
固体 ‣ Quantum ESPRESSO メニュー を参照してください。
6.15.9. OpenMX
固体 ‣ OpenMX メニュー を参照してください。
6.15.10. FDMNES
固体 ‣ FDMNES メニュー を参照してください。