6.9. QM ‣ NWChem メニュー

NWChemに関するメニューです。

6.9.1. NWChemの設定方法

NWChemをインストールするには、2023/04/05バージョン以降のCygwinWMをインストールしてください。CygwinWMの /opt_win/NWChem*/bin/nwchem.exe が収められています。

MPI並列計算を実行する場合は、Windows版NWChemインストールマニュアル に従いMPICHをインストールします。

WinmostarからNWChemを利用するための設定は ツール ‣ 環境設定 メニュー で行います。Winmostar V11.5.0以降を新規インストールしCygwinWM 2023/04/05バージョン以降を利用する場合は設定不要です。

まず プログラムパス ‣ NWChem で使用するNWChwmの nwchem.exe を選択します。次に、 計算 ‣ mpiexec (NWChem)MPICH を選択するか、 Select を選択し使用するMPIの mpiexec.exe を選択します。CygwinWMに収められたNWChemを使う場合は MPICH を選択します。最後に、 計算 ‣ Options for mpiexec (NWChem)mpiexec.exe の引数を入力します。CygwinWMに収められたNWChemを使う場合は変更不要です。

リモートマシンにNWChemをインストールする方法は インストール に記載しています。

6.9.2. ワークフロー設定

プロジェクトモードにおけるGaussianの計算フローを設定、実行します。 プロジェクトモードのローカルジョブでは ツール ‣ 環境設定 ‣ プログラムパスNWChem に指定したバイナリが利用されます。

Preset

設定のプリセットを呼び出し、保存します。

# of Jobs

ジョブの数を指定します。

Enable parameter/structure scan

この機能を使うためにはアドオンの購入が必要です。特定のパラメータだけが異なる複数の計算を流したり(パラメータスキャン)、複数の構造に対し同一のパラメータで計算を流す(構造スキャン)ことが可能となります。

Config をクリックするとスキャン計算の設定画面が出現します。パラメータスキャンの際は Target Variable に%WM_SCAN1%を選択し、 Values の各行に%WM_SCAN1%に設定したいパラメータを入力します。そして、ワークフロー設定ウィンドウまたはキーワード設定ウィンドウにおいて設定したいパラメータに%WM_SCAN1%と入力します。構造スキャンの際は、分子表示エリアでアニメーションが出現した状態(SDFファイルを開くなど)で、 Target Variable に%WM_STRUCT%を選択します。

スキャン計算の終了後は ファイル ‣ プロジェクト ‣ スキャン結果表示 を利用して計算結果を集計します。

Import

Exportで出力した設定を読み込みます。ボタン右の矢印をクリックすると、過去同じプロジェクトまたはWinmostar上で使用した設定を呼び出すことができます。

Export

設定をファイルに出力します。

OK

設定した内容で計算を実行またはファイルを生成します。詳しくは プロジェクトモードの場合 を参照してください。

Details

計算条件を詳細に設定します。 キーワード設定 が立ち上がります。

Task

計算の種類を指定します。


設定内容
Energy
task energy
Optimize
task optimize
IR
task frequencies
IR+Raman
task raman
property response 1 8.8559E-2
TDDFT
task tddft energy
notriplet
nroots 10
Noautosym True
NMR
task energy
task property
property shielding
Optimize(TS)
task saddle
Optimize(TDDFT)
task tddft optimize
notriplet
civecs
nroots 10
grad root 1
Noautosym True
Optimize+IR
task optimize
task frequencies
Optimize(TS)+IR
task saddle
task frequencies
NEB
task neb
No Mulliken
No Dipole
Noautosym True
Noautoz True
Nocenter True
Method

計算手法(Hamiltonian)を指定します。


設定内容
HF
task scf
各種DFT
XC 汎関数名
(DFT-D3の場合) Disp vdw 3
Basis set

基底関数を指定します。

Charge

電荷を指定します。

Multiplicity

スピン多重度を指定します。

Solvent

溶媒種を指定します。

6.9.3. キーワード設定

NWChemの計算条件を設定します。設定後、すぐに計算を実行する場合は Run ボタン、一旦メインウィンドウに戻る場合は OK ボタンを押してください。

Run をクリックしたときの挙動は 実行 を参照してください。

Reset ボタンでデフォルトの状態に戻ります。

Easy Setup

簡易設定画面を表示します。

Use MPI

チェックを入れるとMPIを用います。 並列数はチェックボックスの横に入力します。

Basicタブ
Start-up mode

計算を新規に開始する場合はstart、すでに実行した計算から継続したい時はrestartにします。

Title

タイトルを指定します。

Memory

メモリ使用量を指定します。

Basis

基底関数系を指定します。 cartesian/sphericalを選択します。 一部原子の例外をExceptionで指定します。

Task

計算手法(theory)と計算目的(operation)を指定します。

Charge

電荷を指定します。

DFT
Multiplicity

DFTのスピン多重度を指定します。

XC

DFTの交換相関汎関数を指定します。

cam

長距離補正を指定します。

Disp

経験的分散力補正を指定します。

SCF
Multiplicity

SCFの多重度を指定します。

Wave Function

SCFの計算理論を指定します。

Property
Mulliken

Mulliken電荷を出力するか選択します。

Shielding

NMR計算を行うか選択します。

Dipole

ダイポールモーメントを出力するか選択します。

Advanced タブ
Set tolguess

initial guessの精度を指定します。

ECP

ECPのポテンシャルを指定します。

Driver (Optimize)
Maxiter

構想最適化の最大サイクル数を指定します。

Convergence

構造最適化の精度を指定します。

Others

その他の入力要素を記述します。

Geometry
noautoz

内部座標の変換を行わないように設定します。

noautosym

対称性を使わないように設定します。

Symmetry

対称性を設定します。

Others

その他の入力要素を記述します。

SCF/DFT
Maxiter

SCF/DFTエネルギー計算の最大サイクル数を指定します。

Direct

Direct計算(2電子積分を都度計算)を指定します。

Others

その他の入力要素を記述します。

Solvent タブ
COSMO
Solvent

溶媒種を指定します。

Dielec

溶媒の誘電率を指定します。

Ificos

溶媒領域の分割方法を指定します。

do_cosmo_smd

SMD法の使用を設定します。

do_gasphase

溶媒計算の前に気相の計算を行うかどうかを設定します。

Others

その他の入力要素を記述します。

TDDFT タブ
NOSINGLET

励起一重項の計算を行うかどうかを設定します。

NOTRIPLET

励起三重項の計算を行うかどうかを設定します。

CIVECS

CIベクトルのファイルへの保存を指定します。

Nroots

計算する励起状態の数を指定します。

Target

ターゲットの励起状態の解の番号を指定します。

TargetSym

ターゲットの励起状態の対称性を指定します。

Grad Root

TDDFT微分計算のターゲットの励起状態の解の番号を指定します。

Others

その他の入力要素を記述します。

NEB/String タブ

TaskのOperationにnebかstringを指定したときに有効になります。

NBeads

ビーズの数を指定します。

KBeads

NEBのバネ定数を指定します。

MaxIter

最適化の最大繰り返し数を指定します。

StepSize

最適化のステップサイズを指定します。

NHist

準ニュートン法で使用するヒストリーの数を指定します。

Freeze1

ZTSで最初のビーズを固定するか設定します。

FreezeN

ZTSで最後のビーズを固定するか設定します。

Convergence

収束条件をloose/default/tightから選びます。

XYZ_Path

初期パスのファイルを指定します。計算のリスタートなどで使用します。

Print_Shift

指定したステップ毎にパスを出力します。

EndGeom

最後のビーズの座標を指定します。 Loadボタンでファイルを指定して読み込めます。 Winmostarで読み込めるフォーマットをXYZ形式で読み込みます。 また、Editボタンで編集することができます。

Others タブ
Other Settings

その他の入力要素を記述します。

Coordinate format

原子座標の形式(CartesianもしくはZ-matrix)を指定します。

Reset

設定をリセットします。

Import

設定ファイルを読み込みます。

Export

設定ファイルを出力します。

6.9.4. キーワード読み込み

既存のNWChemの入力ファイルから、キーワード(計算条件)のみを読み込みます。

6.9.5. 実行

メインウィンドウでNWChemの入力ファイルが開かれている場合は、そのファイルを使ってNWChemを実行します。 開かれていない場合は、NWChemの入力ファイルを保存した上でNWChemを実行します。

NWChemのプログラムパスは、 ツール ‣ 環境設定 ‣ プログラムパス で変更することができます。

実行に伴い以下のファイルが生成されます。 例として入力ファイルが water.nw の時のファイル/フォルダ名を併記しています。

種類

説明

outファイル
water.out

計算のログファイルです。

movecsファイル
water.movecs

計算の詳細情報をまとめたファイルです。

batファイル
water.bat

NWChemを実行するためのバッチファイルです。

作業フォルダ
water_nw_tmp\
作業フォルダです。

ジョブは Winmostar Job Manager を通じて実行されます。

6.9.6. ログを表示 (out)

outファイルをテキストエディタで開きます。

6.9.7. アニメーション

6.9.7.1. 構造最適化

outファイルの情報から構造最適化等のアニメーションを作成し表示します。

アニメーション表示の操作方法は アニメーション操作エリア を参照してください。

6.9.7.2. NEB/String

xyzファイルの情報からNEB, String計算のアニメーションを作成し表示します。

アニメーション表示の操作方法は アニメーション操作エリア を参照してください。

6.9.8. 結果解析

6.9.8.1. 分子軌道, 電荷

outファイルの情報から分子軌道, 電荷の情報を取得し表示します。

読み込まれた電荷の情報は 表示 ‣ ラベル/電荷 ‣ Mulliken電荷 などを選択することで分子表示エリアに表示することができます。

サブウィンドウの操作方法は Energy Level Diagramウィンドウ , Surface Setup・Cubegenウィンドウ を参照してください。

6.9.8.2. UV-Visスペクトル

outファイルの情報からUV-Visスペクトルを表示します。

サブウィンドウの操作方法は UV-Vis Spectrumウィンドウ を参照してください。

6.9.8.3. NMRスペクトル

outファイルの情報からNMRスペクトルを表示します。

サブウィンドウの操作方法は NMRウィンドウ を参照してください。

6.9.8.4. IR/ラマンスペクトル

outファイルの情報から振動スペクトル(IRまたはラマンスペクトル)を表示します。

サブウィンドウの操作方法は IR Spectrumウィンドウ を参照してください。