6.17. 固体 ‣ OpenMX メニュー

OpenMXに関するメニューです。

6.17.1. OpenMXの設定方法

Winmostarのワークフロー設定・キーワード設定で読み込むVPS, PAOファイルは、CygwinWMの環境変数OPENMX_DATA_PATHで指定されたパスから読み込まれます。また、リモートジョブにおいては、リモートサーバ上にCygwinWM上のOpenMXと同じバージョンのOpenMXをインストールする必要があり、リモートサーバ上でもCygwinWMと同様の環境変数OPENMX_DATA_PATHを設定する必要があります。

OpenMX3.8以前のDFT_DATA13を使う場合は、UserPrefフォルダにwm_systemwmxフォルダのomxprm_dft_data13.txtをomxprm.txtとしてコピーすると、VPS, PAOファイルに関し、DFT_DATA13に対応した推奨設定がデフォルトで使われるようになります。

6.17.2. ワークフロー設定

プロジェクトモードにおけるOpenMXの計算フローを設定、実行します。

Preset

設定のプリセットを呼び出し、保存します。

# of Jobs

ジョブの数を指定します。

Enable parameter/structure scan

この機能を使うためにはアドオンの購入が必要です。特定のパラメータだけが異なる複数の計算を流したり(パラメータスキャン)、複数の構造に対し同一のパラメータで計算を流す(構造スキャン)ことが可能となります。

Config をクリックするとスキャン計算の設定画面が出現します。パラメータスキャンの際は Target Variable に%WM_SCAN1%を選択し、 Values の各行に%WM_SCAN1%に設定したいパラメータを入力します。そして、ワークフロー設定ウィンドウまたはキーワード設定ウィンドウにおいて設定したいパラメータに%WM_SCAN1%と入力します。構造スキャンの際は、分子表示エリアでアニメーションが出現した状態(SDFファイルを開くなど)で、 Target Variable に%WM_STRUCT%を選択します。

スキャン計算の終了後は ファイル ‣ プロジェクト ‣ スキャン結果表示 を利用して計算結果を集計します。

Import

Exportで出力した設定を読み込みます。ボタン右の矢印をクリックすると、過去同じプロジェクトまたはWinmostar上で使用した設定を呼び出すことができます。

Export

設定をファイルに出力します。

OK

設定した内容で計算を実行またはファイルを生成します。詳しくは プロジェクトモードの場合 を参照してください。

Details

計算条件を詳細に設定します。 キーワード設定 が立ち上がります。

Task

計算の種類を指定します。


設定内容
Energy
MD.Type=nomd
Optimize(Atom)
MD.Type=Opt
Optimize(Atom&Cell)
MD.Type=RFC5
BOMD
MD.Type=NVE
Charge

系全体の電荷を指定します。

Spin

スピン分極計算の設定をします。

K points

K点の計算方法を指定します。

Pressure

圧力を指定します。

Functional

汎関数を指定します。

Properties

計算時に合わせてチェックを入れた物性を計算します。

Precision

計算精度を設定します。


設定内容
Extra-low
SCF.criterion=5e-6
MD.Opt.criterion=5e-3
KSpacing=0.44(metal) 0.63(nonmetal)
SCF.EnergyCutoff=80(metal) 80(nonmetal)
Low
SCF.criterion=5e-7
MD.Opt.criterion=5e-4
KSpacing=0.44(metal) 0.63(nonmetal)
SCF.EnergyCutoff=120(metal) 120(nonmetal)
Medium
SCF.criterion=1e-7
MD.Opt.criterion=2.5e-4
KSpacing=0.31(metal) 0.50(nonmetal)
SCF.EnergyCutoff=160(metal) 160(nonmetal)
High
SCF.criterion=5e-8
MD.Opt.criterion=1.5e-4
KSpacing=0.25(metal) 0.44(nonmetal)
SCF.EnergyCutoff=300(metal) 200(nonmetal)
Extra-High
SCF.criterion=2.5e-8
MD.Opt.criterion=5e-5
KSpacing=0.08(metal) 0.11(nonmetal)
SCF.EnergyCutoff=600(metal) 400(nonmetal)
Metal

スメアリングを有効にします。有効の場合はSCF.ElectronicTemperatureを800、無効の場合は300にし、Precision(上記)の内容も調整します。

6.17.3. キーワード設定

OpenMXの計算条件を設定します。設定後、すぐに計算を実行する場合は Run ボタン、一旦メインウィンドウに戻る場合は OK ボタンを押してください。

Run をクリックしたときの挙動は 実行 を参照してください。

Reset ボタンでデフォルトの状態に戻ります。 OK ボタンで設定内容を反映してメイン画面に戻ります。 Cancel ボタンで何もせずにWindowを閉じます。

本機能を呼び出すときに、メインウィンドウに表示された構造がプリミティブセルに変化できる場合は、自動で 格子を変換 が実行されます。

Preset

設定のプリセットを選択します。

Use MPI

OpenMXの実行時にMPIを用いて並列計算を実行するか指定します。横の欄にはMPIプロセス数を入力します。

Use OpenMP

OpenMXの実行時にOpenMPを用いて並列計算を実行するか指定します。横の欄にはOpenMPスレッド数を入力します。

Basicタブ
Restart

引き継ぎ元ジョブの最終状態を引き継ぐ場合はOnにします。

Restart Directory

Restart=Off以外の場合に引き継ぐジョブのrstフォルダを指定します。

XcType

交換相関ポテンシャルを指定します。「LDA」、「LSDA-CA」、「LSDA-PW」、「GGA-PBE」が指定できます。 ここで「LSDA-CA」はCeperley-Alderの局所スピン密度関数、 「LSDA-PW」は、そのGGA形式において密度勾配をゼロとしたPerdew-Wang局所スピン密度関数です。 「GGA-PBE」はPerdewらが提案するGGA汎関数です。

EigenvalueSolver

固有値問題の計算手法を「scf.EigenvalueSolver」で指定します。O(N)分割統治法は「DC」、O(N)クリロフ部分空間法は「Krylov」、 数値厳密な低次スケーリング法は「ON2」、クラスタ計算は「Cluster」、バンド計算は「Band」を指定します。

Specify Kgrid by spacing

KgridをSpacingパラメータ( Spacingパラメータ )で設定します。

Kgrid

OpenMXでは等間隔メッシュによりk空間の第1ブリルアンゾーンを離散します。 その際、「scf.EigenvalueSolver」キーワードにて「Band」を指定する場合、k空間の第1ブリルアンゾーンを離散化するための 格子の数(n1, n2, n3)を「scf.Kgrid」キーワードで指定しなければなりません。 k空間の逆格子ベクトルを離散化するために「n1 n2 n3」のように指定して下さい。

energycutoff

積分グリッド間隔を定義するカットオフエネルギーを指定します。 この積分グリッドは差電子クーロンポテンシャルと交換相関ポテンシャルに対する行列要素の計算、および高速フーリエ変換(FFT)を用いたPoisson方程式の 解法のために使用されます。

System.Charge

系全体の電荷を指定します。

ElectronicTemperature

電子温度(K)を設定します。

MD.Type

分子動力学計算あるいは構造最適化のタイプを指定します。 現在使用できるオプションは以下の通りです。 MD無し(「Nomd」)、原子座標の構造最適化(「Opt」)、ユニットセルの自由度も含めた構造最適化(「RFC5」)、NVEアンサンブルMD(「NVE」)、速度スケーリング法によるNVTアンサンブルMD(「NVT_VS」)、Nose-Hoover法によるNVTアンサンブルMD(「NVT_NH」)

Advanced(1)タブ
criterion

SCF計算の収束条件を指定します(Hartree単位)。 SCF反復はdUele < scf.criterionという条件が満たされると終了します。 ここでdUeleとは、現在のSCF反復とひとつ前の反復とのバンドエネルギーの絶対差です。 デフォルト値は1.0e-6(Hartree単位)です。

maxIter

SCFの最大反復回数を設定します。 SCF反復ループは、収束条件が満たされない場合でもこのキーワードで指定した回数で終了します。

Mixing.Type

SCF計算の次の反復ステップに入力される電子密度(もしくは密度行列)を生成するための電子密度混合法を指定します。 単純混合法(「Simple」)、Guaranteed-Reduction Pulay法(「GR-Pulay」)、RMM-DIIS法(「RM-DIIS」)、 Kerker法(「Kerker」)、あるいはRMM-DIISK法(「RMM-DIISK」)、 RMM-DIISH法(「RM-DIISH」)のいずれかを指定することができます。 OpenMXの単純混合法は収束の速度を上げるために収束履歴を参照するように改良されています。 「GR-Pulay」、 「RMM- DIIS」、 「Kerker」あるいは「RMM-DIISK」を使用する際には、以下の点に注意することで SCF計算の高速化が可能です。 * Pulay法に準拠する方法で混合を開始する前にある程度の収束が必要です。そのため、やや大きめの「scf.Mixing.StartPulay」の値を使用します。 「scf.Mixing.StartPulay」の適切な値は10~30です。 * 金属系の場合は高い「scf.ElectronicTemperature」の値を使用します。 「scf.ElectronicTemperature」が小さいと数値的に不安定な挙動がよく見られます。 * 「scf.Mixing.History」の値を大きくします。ほとんどの場合、「scf.Mixing.History=30」が妥当な値です。 また前述した混合法のうち、一番ロバスト性が高いのは「RMM-DIISK」です。

Init.Mixing.Weight

単純法、GR-Pulay法, RMM-DIIS法、Kerker法、RMM-DIISK法およびRMM-DIISH法で使用する初期の混合比を指定します。 有効な範囲は0<Init.Mixing.Weight<1です。

Min.Mixing.Weight

単純およびKerker混合法における混合比の下限を指定します。

Max.Mixing.Weight

単純およびKerker混合法における混合比の上限を指定します。

Mixing.History

GR-Pulay法、 RMM-DIIS法、 Kerker法、RMM- DIISK法及びRMM-DIISH法では、 SCFの次の反復ステップにおける入力電子密度(ハミルトニアン)を、過去のSCF反復の電子密度(ハミルトニアン)に基づき推定します。 「scf.Mixing.History」キーワードは、この推定に使用する過去のSCF反復ステップ数を指定します。 例えば、「Mixing.History」が3に設定されている場合、6回目のSCF反復では過去の第5、4、3ステップの電子密度が考慮されます。

Mixing.StartPulay

GR-Pulay法、RMM-DIIS法、Kerker法、RMM-DIISK法およびRMM-DIISH法を開始するSCFステップを指定します。 これらの方法を開始するまでのSCFステップでは単純あるいはKerker混合法が使用されます。

lapack.dste

LAPACKルーチンを選択します。

ProExpn.VNA

中性原子ポテンシャルVNAを射影演算子で展開する場合には、「ON」に設定し、 それ以外の場合は「OFF」を設定して下さい。 「OFF」と設定されている場合、VNAポテンシャルの行列要素は実空間の離散グリッドを用いて計算されます。

HoppingRanges

各原子を中心とする球の半径(Å)を定義します。DC法およびO(N)クリロフ部分空間法では、この球内に含まれる原子を選択することで切り取られたクラスタが構成されます。

KrylovH.order

切り取られた各クラスタのハミルトニアンに対し、クリロフ部分空間の次元を指定します。

KrylovS.order

後述のキーワードで「Exact.Inverse.S=off」に設定した場合、重なり積分の逆行列は クリロフ部分空間法を用いて近似されます。 この時、切り取られた各クラスタに対する重なり行列のクリロフ部分空間法の次元を指定します。

Exact.Inverse.S

「on」に設定すると、切り取られた各クラスタの重なり行列の逆行列は厳密に評価されます。 「off」に設定する場合は前述のキーワード「KrylovS.order」の項を参照して下さい。

Recalc.Buffer

「on」に設定すると、バッファ行列は各SCF反復毎に再計算されます。 「off」の場合にはバッファ行列は初回のSCFステップで計算され、その後のSCF反復では固定されます。

Expand.Core

「on」に設定すると、コア領域は半径 1.2× rminの球の中にある 原子から構成されます。ここでrminは、中心原子と最隣接原子間の距離です。 このコア領域はクリロフ部分空間を生成するときの第1ステップで使用されるベクトル群を定義します。 「off」の場合、中心の原子がコア領域と見なされます。

Advanced(2)タブ
maxIter

MD計算や構造最適化計算における最大の反復回数を指定します。

Opt.criterion

「Type」キーワードによって構造最適化の方法を選択している場合には、 「Opt.criterion」キーワードでその収束条件(Hartree/Bohr) を設定します。 原子にかかる力の最大絶対値が、ここで指定した値より小さくなった場合に、構造最適化は終了します。

Opt.DIIS.History

「DIIS」、「EF」、「RF」による構造最適化を行う場合、「Opt.DIIS.History」キーワードは構造最適化のために参照する過去のステップ数を指定します。

Opt.StartDIIS

「DIIS」、「EF」、「RF」による構造最適化を開始するステップを「Opt.StartDIIS」キーワードで指定します。 DIISタイプの構造最適化を開始する以前のステップでは最急降下法が使用されます。

Opt.EveryDIIS

「DIIS」、「EF」、「RF」による構造最適化と最急降下法による構造最適化を切り替える頻度を指定します。MD.Type=Optの時はこの設定は無視されます。

Spin/DFT+Uタブ
SpinPolarization

電子系の非スピン分極あるいはスピン分極を指定します。 スピン分極の計算を行う場合は「ON」を指定し、非スピン分極の計算を行う場合は「OFF」を指定します。 前述の2つのオプションの他、ノンコリニアDFT計算を行う場合には「NC」というオプションを指定して下さい。 スピン分極計算では、メインウィンドウで各原子に設定されたスピン密度(UpスピンとDownスピンの電子数の差と解釈されます)に応じて初期スピン密度が設定されます。 スピン密度は 電荷/スピンを変更 などで設定することができます。

SpinOrbit.Coupling

スピン軌道相互作用を指定します。

Constraint.NC.Spin

ノンコリニアスピン方位に対する制約条件付きDFT計算を実行するか指定します。

Constraint.NC.Spin.V

ノンコリニアスピン方位に対する制約条件付きDFT計算における制約の強さを指定します。

Hubbard.U

LDA+UおよびGGA+U計算の場合、「ON」に設定します。

Hubbard.Occupation

LDA+U法では、「onsite」、「full」および「dual」の3つの占有数演算子から選択することができます。

MDタブ
TimeStep

時間ステップ(fs)を指定します。

Applied.Pressure

圧力(GPa)を指定します。

NH.Mass.HeatBath

「Type」キーワードによって「NVT_NH」を選択した場合、このキーワードで熱浴の質量を設定します。 単位は統一原子質量単位です(炭素原子の主同位体の質量を12.0とする単位)。

TempControl

MDおよびNVTアンサンブルにおける原子運動の温度を指定します。 「NVT_VS」を選択した場合、原子運動の温度を下記の例のように制御できます。:

<MD.TempControl
  3
  100   2  1000.0  0.0
  400  10   700.0  0.4
  700  40   500.0  0.7
MD.TempControl>

記述は「<MD.TempControl」で開始し、「MD.TempControl>」で終わります。最初の数字「3」は、続く温度指定の行数を指します。 例では3行あります。後続する行の第1列はMDステップ数を指し、第2列は速度スケーリングを行うMDステップの間隔を指定します。 例では、100ステップ目までは2ステップ毎に、100~400ステップ間は10ステップ毎に、400~700ステップ間は40ステップ毎に速度スケーリングを行います。 第3、4列はそれぞれ温度(K)とスケーリングパラメータαを指定します。 詳細は「分子動力学」の章を参照して下さい。 一方、NVT_NHの場合、以下の記述で原子運動の温度を制御できます。:

<MD.TempControl
  4
  1    1000.0
  100  1000.0
  400   700.0
  700   600.0
MD.TempControl>

記述は「<MD.TempControl」で開始し、「MD.TempControl>」で終わります。 最初の数字「4」は、続く温度指定の行数を指します。 この例では4行あります。 後続する行の第1、2列は、それぞれMDステップ数と原子運動の温度を指定します。 指定されたMDステップ間の温度は線形補完されます。

Othersタブ

任意のOpenMXパラメータを入力します。

Previewタブ

設定キーワードのプレビューが表示されます。

Optionsタブ
level.of.stdout

標準出力への出力情報のレベルを指定します。 「0」を指定した場合、最小限の情報が出力されます。 「1」の場合、最小限の出力に加えて追加の情報が出力されます。 「2」は開発者向けのオプションです。

level.of.fileout

出力ファイルへの出力情報のレベルを指定します。 「0」を指定した場合、最小限の情報が出力されます(Gaussian cubeおよびグリッドファイルの出力無し)。 「1」は標準的な出力情報レベルです。 「2」の場合、標準の出力に加えて追加の情報が出力されます。

Atoms.Coord.Unit

原子座標の単位を指定します。

Edit and confirm Atoms.SpeciesAndCoordinates

Atoms.SpeciesAndCoordinatesを直接編集します。

Propertiesタブ
dispersion

バンド分散を評価するには「ON」に設定します。

Use default path

自動判定されたブラベー格子の種類をもとにバンド分散を評価する際のk点のパスを設定します。

DOS.fileout

全状態密度(DOS)および射影した部分状態密度(PDOS)を評価する場合は「ON」に設定します。

Erange

DOS計算におけるエネルギー範囲(下限値と上限値)を半角スペース区切りで指定します。

Kgrid

DOS計算を行う上で、第1ブリルアンゾーンを離散化するために(n1, n2, n3)の格子点を指定します。

MO.fileout

分子軌道をファイルに出力したい場合は、「ON」を指定します。

num_HOMOs

出力する最高被占分子軌道(HOMO)の数を指定します。

num_LUMOs

出力する最低空分子軌道(LUMO)の数を指定します。

Nkpoint

「fileout」を「ON」およびSCFタブの「EigenvalueSolver」を「Band」を設定している場合、 「Nkpoint」キーワードでMOを出力するk点の数を指定します。

Speciesタブ
Atom

原子種の名前を指定します。

Basis

プリミティブ軌道の数および縮約された軌道の数を指定します。

PAO

擬原子基底軌道の拡張子無しのファイル名を指定します。

VPS

擬ポテンシャルの拡張無しファイル名を指定します。

Reset

設定をリセットします。

Import

設定ファイルを読み込みます。

Export

設定ファイルを出力します。

6.17.4. 実行

OpenMXを実行します。

実行に伴い以下のファイルが生成されます。 例として入力ファイルが dia.mxin 、System.Nameがwmのときのファイル/フォルダ名を併記しています。

種類

説明

batファイル
dia.bat

OpenMXを実行するためのバッチファイルです。CygwinWM経由でdia.shを実行します。

shファイル
dia.sh

OpenMXを実行するためのシェルスクリプトファイルです。

logファイル
dia.log

dia.shのログファイルです。

mxoutファイル
dia.mxout

計算の出力ファイルです。作業フォルダ内のwm.outのコピーです。

作業フォルダ
dia_mx_data\
作業フォルダです。

作業フォルダには以下のファイルが生成されます。 ここでは主要なファイルのみ示しています。

種類

説明

tmp.dat
計算条件を指定するファイルです。dia.mxinのコピーです。
tmp.std
OpenMXの標準出力をリダイレクトしたファイルです。
wm.out
SCF計算の履歴、構造最適化の履歴、Mulliken電荷、全エネルギー、および双極子モーメントが保存されます。
wm.xyz
MDまたは構造最適化により得られた最終的な幾何学的構造が保存されます。
wm.bulk.xyz
「scf.EigenvalueSolver=Band」の場合、コピーされたセルの原子を含む原子座標が出力されます。
wm.md
各MDステップごとの原子座標が保存されます。
wm.md2
最終MDステップにおける原子座標が保存されます。指定した原子種記号を用いて原子が指定されています。
wm.ene
MDステップごとの計算値が保存されます。保存されている各数値の内容は「iterout.c」 ルーチン中で確認できます。
wm.Band
バンド分散のデータファイルが保存されています。
wm.Dos.val
状態密度を計算するための固有値のデータファイル。
wm.Dos.vec
状態密度を計算するための固有ベクトルのデータファイル。
wm.tden.cube
Gaussian cube形式の全電子密度が保存されています。
wm.sden.cube
「LSDA-CA」、「LSDA-PW」、「GGA-PBE」を使用したスピン分極計算が実行される場合に、スピン電子密度が保存されています。
wm.dden.cube
構成原子の孤立原子状態の電子密度の重ね合わせを基準として計算された差電子密度が保存されています。
wm.v0.cube
アップスピンの非局所ポテンシャルを除くKohn-Shamポテンシャルが保存されています。
wm.v1.cube
スピン分極計算における、ダウンスピンの非局所ポテンシャルを除くKohn-Shamポテンシャルが保存されています。
wm.vhart.cube
差電子密度から生じる差電子Hartreeポテンシャルが保存されています。

ヒント

作業フォルダ

  • 作業フォルダとは、メインウィンドウで開かれているファイルの名前に接尾辞を加えた名前のフォルダです。

    • 接尾辞はソルバの種類により変わります。

    • 例えばGromacsの場合は、メインウィンドウで開かれているファイルが aaa.gro で、接尾辞が _gmx_tmp の場合、作業フォルダの名前は aaa_gmx_tmp となります。

  • メインウィンドウで開かれているファイルと同じ階層に置かれている必要があります。

  • 継続ジョブの時も同名の作業フォルダで処理が流れますが、デフォルトでは継続ジョブの実施直前に、直前のジョブの作業フォルダのバックアップが作成されます。

    • バックアップの名前は、重複する名前が存在しない範囲で一番小さい番号が付いたものになります。例えば、作業フォルダが aaa_gmx_tmp のときは aaa_gmx_tmp1 となります。

    • 番号が付いていないディレクトリが常に最新のものとなります。

ジョブは Winmostar Job Manager を通じて実行されます。

6.17.5. ログを表示 (mxout)

ログファイルをテキストエディタで開きます。

6.17.6. ログの抜粋を表示

ログファイルの主要な情報を抜粋して表示します。

6.17.7. アニメーション(md)

mdファイルの情報から構造最適化、分子動力学計算等のアニメーションを作成し表示します。

アニメーション表示の操作方法は アニメーション操作エリア を参照してください。 アニメーション操作エリアから動径分布関数、自己拡散係数、平均二乗変位、各原子の変位などを計算できます。

6.17.8. エネルギー変化

6.17.8.1. SCFエネルギー変化(std)

stdファイルを選択し、残差のグラフを表示します。

グラフ描画エリアの操作方法は グラフの操作方法 を参照してください。

6.17.9. 結果解析

6.17.9.1. 状態密度

作業フォルダ(dia_mx_data\)を指定し、状態密度を表示します。

Dos.fileout=onで計算が終了している必要があります。

グラフ描画エリアの操作方法は グラフの操作方法 を参照してください。

6.17.9.2. 部分状態密度

作業フォルダ(dia_mx_data\)を指定し、部分状態密度(PDOS)を表示します。

Dos.fileout=onで計算が終了している必要があります。

グラフ描画エリアの操作方法は グラフの操作方法 を参照してください。

6.17.9.3. バンド構造

作業フォルダ(dia_mx_data\)を指定し、バンド構造を表示します。

Band.dispersion=onで計算が終了している必要があります。

6.17.9.4. 電子密度/スピン密度/エネルギー分布

cubeファイルを指定し、電子密度、スピン密度、エネルギー分布を表示します。

サブウィンドウの操作方法は Surface Setup・Cubegenウィンドウ を参照してください。

6.17.9.5. フェルミ面

作業フォルダ(dia_mx_data\)を指定し、フェルミ面を表示します。

フェルミ面の表示には FermiSurfer を使用します。 # of K Points にbands計算時のk点分割数を指定し、 Calc ボタンを押すとフェルミ面が表示されます。