11.5. Winmostarの機能検証

Winmostarは、世界中の研究者が使用しているオープンソースソフトウェアを呼び出すことにより、高い品質を維持しています。一方で、Winmostar独自の実装に強く依存する機能もあり、ここではそのような機能の検証結果を示します。ここに示した検証はリリース前に実行されています。

11.5.1. Gromacs→LAMMPSの力場ファイル変換

Winmostarは、Gromacs用のtopファイルを変換することで汎用力場を用いたLAMMPS用のdataファイルを生成しています。 この変換機構を用いてGromacsとLAMMPSを用いて同じ系に対してエネルギーを計算した結果を示します。

エネルギー各成分のGromacs, LAMMPS間相対エネルギー差

力場

Bond

Angle

Dihedral

Improper

Coulomb

Vdw

Total

UFF

2.57E-8

6.965E-9

1.17E-8

2.11E-8

7.21E-8

3.71E-8

7.55E-9

Dreiding

6.32E-9

4.25E-8

7.20E-9

5.37E-8

7.21E-8

3.62E-8

2.47E-8

GAFF

2.82E-8

3.06E-8

1.10E-8

2.97E-9

7.61E-8

9.51E-10

3.62E-9

OPLS-AA/L+GAFF

2.82E-8

3.06E-8

1.10E-8

2.97E-9

7.22E-8

1.67E-8

6.31E-8

OPLS-AA

1.64E-9

2.60E-8

1.10E-8

2.97E-9

7.22E-8

1.67E-8

5.93E-9

詳細な計算条件は以下の通りです。

  • ベンゼン1分子、AM1-BCC電荷で計算

  • 自由境界条件、カットオフ半径20 Å、結合長・角度の拘束なし

  • Gromacsは5.0.7倍精度版、LAMMPSは2016年3月9日版を使用

  • Coulomb, Vdwは1-4相互作用を含む

  • DreidingのImproperはLAMMPSのimproper_style umbrellaに相当する関数がGromacsに実装されていないためどちらもimproper harmonicで計算

  • Gromacsの1-4相互作用スケーリング係数は単精度で内部処理されているため、LAMMPSでも単精度相当の係数を設定

  • OPLS-AAではmktopにて生成したファイルを使用

上の表より、すべての成分について8-10桁程度GromacsとLAMMPSの間でエネルギーが一致していることがわかります。GromacsとLAMMPSの細かい実装の差(各種関数の近似計算、並列計算など)により厳密に一致させることは困難ですが8-10桁程度の一致であれば実用上問題ないと考えられます。

また、同様のテストを、エネルギーの各成分に着目した系、複数分子系などでも実施しています。